ロシアUAC傘下の航空機メーカー、V・M・ミャスィーシチェフ実験機械工場(EMZ)は2020年2月19日(現地時間)、An-140-100航空測量機の近代化改修が終了したと発表しました。より高性能な航空カメラを搭載し、精密な測量が可能になります。

 地図作りで重要な航空測量。日本でも国土地理院などが航空測量用の航空機を所有しており、定期的に地上を撮影して地形や道の変化などを記録し、新しい地図作りに役立てています。

 かつては大型のフィルム式航空カメラが使用されてきましたが、このところはデータ化が容易なデジタルカメラが使用されています。3D地形図や植生分布など、撮影データを加工する際にもデジカメの方が相性が良く、かつての「地図職人」が熟練した技を披露する機会は少なくなりました。

 旧ソ連時代にミャスィーシチェフ設計局の通称で呼ばれていたEMZは、戦略爆撃機M-4(NATOコードネーム:バイソン)や、高高度偵察機M-55(NATOコードネーム:ミスティック)などで知られます。UACの傘下に入った現在は、主に航空機の特別仕様への改装や、様々な実験用航空機の試作などを行っています。

 今回An-140-100航空測量機の改修では、搭載するカメラをより高精細な画像を撮影できるものに交換したほか、それに付随するシステム改修が主なものとなりました。EMZの代表、アレクサンダー・ゴルゴノフ氏は「私たちは、成層圏上層を観測する高高度機M-55のような特殊用途の航空機開発の実績があり、今回の新しいプロジェクトでも成功を確信しています」というコメントを発表しています。

 改修を受けたAn-140-100は、今後試験飛行を実施して機器の動作確認を行う予定。最初の航空測量では、貯水池などの水面と底の状態を撮影し、デジタル3D地形図を作成することになっています。

<出典・引用>
UAC ニュースリリース
Image:UAC

(咲村珠樹)