イギリスの外務・英連邦・開発省(FCDO)は4月24日、ドローン操縦に使われるゲームコントローラーのロシア向け輸出を禁止すると公式Xアカウントで発表しました。

 これによって、ロシアがイギリスの先端技術や高度なソフトウェアを利用できないようにする狙いがあります。

「禁止:
ウクライナ前線でロシアのドローンを操縦するために使用されるビデオゲームコントローラーの輸出を禁止。
本日の措置は、ロシアの軍事力を英国の革新的な技術や世界をリードするソフトウェアから切り離し、プーチン政権の側近たちが悪用してきた抜け穴を塞ぐことにもつながります」

 最近では、家庭用ゲーム機に似た形のコントローラーが、無人機やロボット兵器の操作に使われることが増えています。特に、PlayStationやXboxにそっくりな操作方法を持つ機器が軍事用に作られる例も見られ、安価で直感的に操作できるツールとして、世界的に軍事転用が進んでいるのが現状です。

 例えば、アメリカ軍ではXboxのコントローラーをそのまま爆発物処理ロボットに使用した事例があり、イギリス軍ではVRヘッドセットとゲームコントローラーを使ったドローン操作訓練が行われています。

 また、ウクライナのキーウ経済大学研究所とイェルマク・マクフォール国際作業部会が2024年1月に発表した共同調査によると、ウクライナで発見されたロシア軍装備品から約2800点の外国製部品が確認されています。これらは日本を含む250社以上の企業によって製造されたものであり、ロシアが制裁をかいくぐり、各国の製品を調達して軍事転用している実態が浮き彫りになっています。

 イギリスはこれまでも、ロシアへの制裁として金融やエネルギー分野でさまざまな対策を取ってきましたが、今回の措置は、民間でも軍でも使える技術(デュアルユース技術)に焦点を当てた制裁となっています。

 今後も民間技術と安全保障の境界線をどう引くかが、国際社会にとって大きな課題となりそうです。

<参考・引用>
Foreign, Commonwealth & Development Office(@FCDOGovUK
Business & Human Rights Resource Centre
Task & Purpose
TheSUN