スウェーデンの航空機メーカー、サーブは2020年4月3日(現地時間)、スウェーデン市民緊急事態庁(MSB)より2機の消防飛行機(ウォーターボマー)のほか、これらの運用までの業務パッケージを受注したと発表しました。契約期間は2023年までとなっています。
国土の多くが森林地帯となっているスウェーデン。森林火災は大きな災害となるため、消火活動は非常に重要です。森林は消防車が進入できない場合が多く、航空機による「空中消火」が大きな役割を果たしています。
今回サーブが受注した内容は、消防飛行機2機の導入とそれを運用するパイロット、整備士をセットにした消防機運用パッケージ。使用するのはアメリカの航空機メーカー、エア・トラクターのAT-802F“ファイアボス”消防機(水上機)です。
ベースとなっているAT-802は、農薬散布などに使われるターボプロップ単発の農業機で、農薬散布用タンクを消化剤タンクに転用し、空中消火任務に対応させています。消化剤タンク容量は800ガロン(約3028リットル)、水上機のため湖に着水して補給することを繰り返せば、1時間あたり3万5000~5万リットルもの空中放水が可能です。
サーブのサポート&サービス部門の責任者、エレン・モーリン氏は「私どもはスウェーデンの国家安全保障体制の一部であり、私どもの専門家が有する知識と航空免許からも、ニュヒェーピングで空中消火活動を行うことは自然な流れだといえます。森林火災については国家的な素早い対応が必要であり、私どものサービスはその一助になります」とコメントしています。
消防機をはじめとする空中消火隊は、スウェーデン南部のニュヒェーピングに拠点を置き、森林火災が発生しやすい4月1日から9月30日までのシーズンに出動態勢を取ることになります。ニュヒェーピングからは、デンマークの首都コペンハーゲンやフィンランド東部まで2時間以内、スウェーデン北部のルレオまでは3時間以内に到達できるとのこと。
サーブの発表によると、契約は2020年~2023年の4年間ですが、2020年の実績によっては、2021年の森林火災シーズン(4月1日~9月30日)から、消防機をさらに2機増備する契約もオプションとして含まれているとしています。
<出典・引用>
サーブ プレスリリース
Image:SAAB
(咲村珠樹)