おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

『となりのなにげさん』作者の漫画家・橘紫夕先生にインタビュー

日常のなにげないトラブルを、どこからともなく現れて解決してくれる。そんな、不思議な、カワイイ彼女の名前は「なにげさん」。
ロングヒット中の4コマ漫画『となりのなにげさん』の生みの親の橘紫夕先生に、学生時代の話から、秘話や、近況や、「なにげさんのタイプの男性」などについて語ってもらった。

現在、『となりのなにげさん』3巻が芳文社より発売中。『ひよわーるど』2巻が竹書房より発売中。


  • 【関連:漫画家の竹本泉先生にインタビュー】

     

    ――橘先生は、どのような学生でしたか?

    「ひよわーるど」が私の高校時代をモデルにした漫画なのですが…まぁ割とあんな感じでした。
    あそこまで表立ってふてぶてしくは無かったのですが。(笑)

    「自分を動物にたとえたら何?」みたいなのが一時流行しましたが、友人に「どの動物も該当しない、かといって宇宙系でもない」と困られた結果菌類になりました。
    きのこ…?

    ――思春期はどのようなエンターテインメント(音楽、映画、漫画、小説など)を好まれていましたか。

    学生の頃は幽遊白書-るろうに剣心-封神演義-ヒカルの碁の系譜でした。
    小説は児童図書や純文学含めかなり読みましたが、定期的に買い続けたのはフォーチュンクエストとスレイヤーズです。
    音楽は新居昭乃さん。
    割と統一性が無い感じですが、基本的にはファンタジーが好きだった…はず。

    ――突然、「漫画家になりたい」といってすぐなれると思いにくいのですが、橘先生の場合は、どのようにして商業でお仕事をされるようになったのでしょうか?

    大学時代にストーリー漫画で少年誌に投稿していたのですが、うまくいかず一旦就職しました。
    その頃「ハムスペ」を発見し、4コマなら働きながらでも描けるかな?と。
    社長秘書だったのですが割と暇な時間があったので、職場でこそこそ描いて投稿し始めました。
    デビューはできない一番小さい賞(同じやつ)を数回取った後、何の進歩もないのでめんどくさくなって、次の投稿作と一緒に「オマケ」と書いたネームを30Pぐらいぶっ込んで送ったら掲載依頼のお電話が…。
    ヤル気を見込んで頂けた様です。
    (注*これを見て我も我も!と安易に真似するのは危険です。怒られる可能性の方が高いかも?)

    ――『となりのなにげさん』おもしろいですね。個人的に大好きな漫画の一つです。
    どんな悩みも問題も、素晴らしいアイデアで解決してくれる、なにげさんみたいな娘がいたら助かるし、日本が平和になるのになと思います(笑)
    なにげさんのお話の発想を思いついたのは、どのような時だったのでしょうか?

    ありがとうございます。
    なにげさんのモデルは某4コマのキャラです。
    最初はもう少し暗いシュールな感じで、男の子だったのですよ。(笑)
    それを4コマ誌以外の所に投稿したら小さい賞を貰えたのですが、やはりデビューまでは行かずお蔵入りに。
    二年くらい経って、ふと「もう少しストレートにけなげな感じの女の子にするべきでは?」と思い付き、今に至ります。

    現実の世界には、嫌なことや悲しいことがたくさんありますが、漫画の中で位ホッとできたらいいなと思って描き始めました。
    ストーリー漫画を投稿していた頃は「キャラが全員良い人すぎる」「ぬるい」と散々言われていましたが、今は良い方に作用しているのではないかと思います。

    ――なにげさん、レンや、ユウや、新聞委員の娘などの、キャラクターの発想についてはいかがでしょうか。モデルはいますか?

    なにげさんは優しいので、やや毒のあるネタはイメージに合わないとよくボツになっていました。
    でも優しいだけだとお調子者が野放しになりかねないので、スパルタ役としてレン様を投入。
    ユウちゃんは未熟ななにげさんとして、やはり通常のなにげさんではカバーできなかったネタの担当です。
    レン、ユウ、咲、新聞部、大野兄妹あたりにはモデルはいません。
    図書委員は友人がモデルです。
    友人自体はGカップですが、他にIカップの知り合いもいたのでIカップに設定しました。
    あと、体育教師が概ね脳筋なのは実体験に基づくものです…すいません。

    ――3巻の表紙ですが、お茶碗や、可愛いお魚や、タイトルロゴや、黄色い背景色など、デザインが綺麗ですね(1.2巻もロゴは同じだと思いますが)。
    どのようなコンセプトで作られましたか?

    とにかく何か世話を焼いてる感じにしたくて、小道具を並べてみました。
    やっぱりなにげさんはちょこまか動いてる感じが良いかな、と。
    1巻の頃は等身の高い絵にしてきらら的萌え漫画を気取りたかったのですが、却下されました。(笑)
    今ではこれで良かったかなと思っています。

    なにげさん1 なにげさん2 なにげさん3

    ――4コマという制限があるのに、構図やアングル、小物(バッグやコーヒーカップなど)のデザインが素敵ですよね。意識されていることはありますか?

    正直なところ絵は下手でして、特に背景が描けません。
    そのかわり立ち位置などはわかりやすいように気をつけています。
    あまり描き込みが似合う絵でもないので、すっきり読みやすい方向で。

    想像で描くのも苦手なので、アイテムは主に私物です。(笑)
    でもコマが小さくて、アイテムが一部しか入らないことも多いので、ちょっとしか見えなくても何が描いてあるかがわかるようにしなければと思っています。

    ――みんな気になっているとは思うのですが、なにげさんは何者なのでしょうか?

    ……秘密にしておいた方が良さそうです。(笑)

    ――なにげさんのタイプの男の子って、どんな人なのでしょう?

    一緒に縁側でお茶を飲んでくれるような…だと全く話が進まないので、いっそ引っ張って行ってくれる人が良いのかもしれませんね。

    ─去年を振り返ってみていかがでしたか? 今年はどういう年にしたいですか?

    これだ!と言う何かが無いまま、あっという間に過ぎてしまいました。
    今年は、これを成し遂げたぞ!と言う実感がある何か凄いことをやりたいです。
    なにか。

    ─趣味や、最近はまっていることはありますか?

    今は革細工が楽しいです。その前はぬいぐるみを作ったりフィギュアや銀細工と色々やりすぎたので、部屋が各材料でえらいことになっています。

    あとは…着物を着て京都へおでかけ、でしょうか。
    でも一緒に着物で出歩いてくれる友人がほとんどいないので、もっぱら一人歩きです。
    着物の長毛種がもそもそしていたら私かもしれません。

    ――お忙しいところ、ありがとうございました。

    【プロフィール】
    橘紫夕(たちばな しう):大人気の4コマ漫画家。まんがホーム「となりのなにげさん」、まんがくらぶ「ひよわーるど」連載中。

    【リリース情報】
    『となりのなにげさん』3巻が芳文社より発売中。
    『ひよわーるど』2巻が竹書房より発売中。

    【オフィシャルサイト】
    「DEAR MINE」

    【ツイッター】
    https://mobile.twitter.com/tachibana_shiu

    (インタビュー:川上竜之介)

    あわせて読みたい関連記事
  • 画像提供:橘紫夕@でかポメさん(@tachibana_shiu)
    インターネット, おもしろ

    犬であることをうっかり忘れたポメラニアン

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 鳥羽水族館、ラッコ配信で“飼育係モザイク化” カスハラ対策で映像方法変更
    社会, 経済

    鳥羽水族館、ラッコ配信で“飼育係モザイク化” カスハラ対策で映像方法変更

  • “幸福度が高い”と評判のジョナサン「早生みかんスイーツ」 今年は新作大福も仲間入り
    商品・物販, 経済

    “幸福度が高い”と評判のジョナサン「早生みかんスイーツ」 今年は新作大福も仲間入…

  • ヤマト運輸、元従業員が取引先情報を不正持ち出し 2社に流出、営業活動での使用も確認
    企業・サービス, 経済

    ヤマト運輸、元従業員が取引先情報を不正持ち出し 2社に流出、営業活動での使用も確…

  • YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能にする試験導入を発表
    インターネット, サービス・テクノロジー

    YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能に…

  • 南インド伝統のチキンカレー「ケララチキンカレー」
    商品・物販, 経済

    松のやが南インド伝統の味を再現 「ケララチキンカレー」新発売

  • 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)
    商品・物販, 経済

    ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」…

  • トピックス

    1. 【実食】コメダ珈琲店の「ドデカメンチバーガー」は名前に偽りなし バンズからはみ出す“肉の暴力”

      【実食】コメダ珈琲店の「ドデカメンチバーガー」は名前に偽りなし バンズからはみ出す“肉の暴力”

      コメダ珈琲店は10月16日から「ドデカメンチバーガー」と「ドデカチーズメンチバーガー」の2種類のバー…
    2. 自宅に“機内”を再現!「飛行機オタク」が作り上げた最高の趣味部屋

      自宅に“機内”を再現!「飛行機オタク」が作り上げた最高の趣味部屋

      趣味を持つ人なら憧れる、好きなもので埋め尽くされた趣味専用の部屋。本、ゲーム、楽器、絵画、彫刻など自…
    3. 藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      プロの声楽家として活動する傍ら、1時間1000円から自分の時間を「レンタル」している男性。キャリア豊…

    編集部おすすめ

    1. 鳥羽水族館、ラッコ配信で“飼育係モザイク化” カスハラ対策で映像方法変更

      鳥羽水族館、ラッコ配信で“飼育係モザイク化” カスハラ対策で映像方法変更

      三重県の鳥羽水族館は10月15日、人気配信「鳥羽水族館ラッコ水槽ライブカメラ」の映像内容を一部変更すると発表しました。今後は、給餌の際などに…
    2. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    3. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    4. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    5. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト