3月24日、アニメ『ガールズ&パンツァー』の舞台となっている、茨城県東茨城郡大洗町で開催された観光イベント「海楽(かいらく)フェスタ」で、またまたガールズ&パンツァーのイベントがありましたよ! ふたたびオッドボール三等軍曹……じゃなくて記者が現地で情報収集してきましたっ。さっそくリポートです!
【関連:<動画付>『ガールズ&パンツァーin大洗』現地リポート!】
前夜、最終回である第12話の最速上映を含むシリーズ全話オールナイト上映会が隣町の水戸市で開かれた関係で、ファンの数はかなりのもの。鹿島臨海鉄道・大洗鹿島線の列車は普段のラッシュでもないほど超満員です。この他に水戸駅から直接向かうバス路線(会場手前で西住みほ役・渕上舞さんのスペシャルアナウンスもあり)もあるので、これでも分散してるんですよ。23・24の両日は、都合によりラッピングトレインは運用から外れてました。ちょっと残念。
大洗駅には『ガールズ&パンツァー』のギャラリーが。設定資料や全国のファンから持ち寄られた模型などが並んでるんですが、鹿島臨海鉄道の運転士さんによる作品も。ギャラリー内に設置されたノートには、前日のオールナイト上映からそのままやってきたファンのメッセージもチラホラ。
駅からは茨城交通のシャトルバスが運行。もちろん、ラッピングバスも投入されてましたよ。そして目立たないながらも、タクシーまでガルパン仕様になってるんです。車内にキャラうちわやぬいぐるみを装備した車も。ちなみに女性の運転手さんでした。
海楽フェスタは、昨年から始まった新しい観光イベント。津波で破壊された港湾施設も、残された大洗マリーナの復旧工事が終わりに近づき、間もなく完全復旧を迎えるところ。会場はそのマリーナにほど近い大洗マリンタワー前広場です。
昨年11月の「大洗あんこう祭り」同様、今回も『ガールズ&パンツァー』のコラボイベントが。前回自衛隊側が「もっと早く内容を知っていれば戦車を持ってきたのに」という発言を(非公式に)してましたが、今回は大洗町長が英断! 自衛隊(茨城地方協力本部)に要請し、陸上自衛隊土浦駐屯地(アニメ開始前に監督らスタッフが取材に訪れた場所)から74式戦車が展示の為にやってきました! 要請したのは2ヶ月ほど前だったとか。
できれば、劇中に登場する八九式中戦車とか三式中戦車だと良かったかもですが、八九式は現在履帯を傷めていて、三式は静態保存で移動ができないので残念ながら実現できず。10式も1両しかないので無理だし、90式は移動させる際の手続きが煩雑で、一番動かしやすい74式になったそうで。でも74式はある意味、とても日本らしい戦車と言える車両なので、かえってよかったかも。
ガルパンファンだけでなく、一般のお客さんにも戦車は大人気。周りには人だかりが。柵などもなく、自由に触れたり、子供はフェンダーに乗って記念写真が撮れたりとサービス満点。
おかげで、持参したフィギュア(ドルフィー)を載せて記念撮影するファンや、侵略されたりする場面も。
そして自衛隊は本気です。操法展示として、74式戦車ご自慢の油気圧式サスペンションを駆使した高度な姿勢制御をデモしてくれました!
▼動画:74式戦車の操法展示。姿勢制御デモ
http://www.nicovideo.jp/watch/1364194179
自在に姿勢をコントロールする姿に、どよめきが上がってましたよ。
自衛隊はステージでも、集まった観客からの「74式戦車に関する質問」に色々答えてくれました。……「ライフル砲と滑腔砲の命中精度について」だとか「シュノーケル(潜水渡河用吸排気筒)の標準取り付け時間は?」とか、だーいぶマニアックな質問も飛びかってましたが……。
更にサプライズとして、意外な人からのメッセージビデオが。『ガールズ&パンツァー』の構成要素、「ミリタリー」と「アニメ」といえば……。
自民党の石破幹事長! 『ガールズ&パンツァー』のみならず、子供の頃に読んだ井上靖の随筆「大洗の月」の思い出もまじえながら、大洗へのメッセージを寄せていました。
ステージでは『ガールズ&パンツァー』のトークショーも行われました。登場したのは渕上舞さん(西住みほ役)、中上育実さん(秋山優花里役)、中村桜さん(佐々木あけび役)のキャストに「あんこう音頭」の佐咲紗花さん。中村さん、前回のあんこう祭りの際にはプライベートで来場し、あんこう鍋を食べたり物販ブースに並んでたりしたとか。会場に登場した74式戦車を見ての感想は、
中村さん「車の中から見たんですけど、ホンモノはいいですねぇ(ウットリ)。74式はサスペンションが……(と、姿勢を変化させて斜面や窪地に身を隠して攻撃する「稜線射撃」の話をして)カッコいいと思います」
渕上さん「(総火演(総合火力演習)を見に行って)動いてるところも見ましたし、ドーンってなってる(射撃してる)ところも見てるんですけど、実物も見てるし、これだけ戦車に関わってきたものの、なんかまだ実感がない感覚もあって……特に今日は遠目からだったから、作り物みたいに見えて『ああ、これ動くんだよな』って(笑)すごい不思議な感覚に襲われました」
中上さん「私も総火演一緒に行かせてもらってて、動いてるのは見たことあって。その後に優花里役をやるということで、調べておこうと思って埼玉の(朝霞駐屯地内にある広報施設「りっくんランド」)に行って、10(式)も近くで見たんですよ。……でも今日はちょっと遠かったんで、ちゃんと一眼レフを撮る気満々で持ってきたんで、とりあえず頑張って望遠にしてバスの中から撮りました(笑)。でも……いいなぁ、皆さん近くで見られるんですよね? えっ、触れるの? いいなぁ~! さっき「乗ったよ」っていうお子さんがいて、いいな~、私も乗りたい!と思いました」
佐咲さん「こんな機会ないじゃないですか。お祭りに戦車が現れるって、どういうことだと(笑)。やっぱりこれも、町を挙げての盛り上がりがすごかったからこそ、応援してくれる方が増えていったんじゃないかと思います」
皆さん大洗の人々の熱意に感動してるようでしたよ。また、ここで初出の情報が3つ。
●5月にドラマCDが発売予定(詳細未定)。
●サンクスでキャンペーンが決定(詳細未定)。既に23日から水戸市内のサンクスで、コラボ商品のカレーが先行して販売中。
ここで秋山殿(中上さん)にサンクスからプレゼント……サンクスの制服(実物)が贈呈されました。これに呼応して、会場内に出展していたサンクスでは、商品購入者に秋山優花里のスタッフ証をプレゼント。
最後は驚きの発表。先日まで、東京・池袋にあるトヨタ自動車のショールームAMLUXで『ガールズ&パンツァー』の痛車が展示されていましたが……
●展示されたものとは別の公式痛車(限定2台)販売決定。
ベースはヴィッツとプリウスの中古車で、新車ではない為に多少入手しやすい価格になるのではないか、とのこと。そして特別仕様として、西住みほの声によるナビが搭載されてます。「これから音声案内を開始します。Panzer vor!!」なんて言われるなんて胸熱じゃないですか。……でもさすがに「ここからは『パラリラ作戦』です!」とは言わないだろうなぁ(蛇行運転はイケマセン)。速度取り締まりを感知して「前方にレーダーを発見!『こそこそ作戦』を開始してください!」って言ってくれると便利そうだけど。
実車が公開されたんですが、この後3月30・31日に予定されているアニメコンテンツエキスポ(幕張メッセ)でも展示した後、販売方法は4月2日のニコニコ生放送で発表予定。
この「公式痛車販売」の発表はビックリ。ジオニック社との合弁だけでなく、トヨタはやる気ですよ。最後に佐咲さんがピンクのはっぴに身を包み、生で「あんこう音頭」を歌ってくれました!
トークショー後、ステージでは地元の県立大洗高校マーチングバンド部「ブルーホークス」が演奏を披露。冒頭で『ガールズ&パンツァー』のBGMから「栄光の戦車道全国大会始まります!(サントラCD1・トラック28)」と「乙女のたしなみ戦車道マーチ!(サントラCD1・トラック2)」とを演奏してくれました。
▼動画:大洗高校ブルーホークスによる『ガールズ&パンツァー』BGM演奏
http://www.nicovideo.jp/watch/1364195228
会場を回ってみると、大洗の様々な物産が売られてます。ステージ行われた「カジキの解体ショー」でさばかれたカジキが「カジキ焼き」として提供されてたり、トークショーに出演した皆さんも食べたという、干し芋のクレープなんかも。
大洗復興を後押しする「がんばっぺ大洗」グッズは、ステッカーとあんこうマークの缶バッジ。アニメでもコラボした、茨城のプロレス団体「ごじゃっぺプロレス」で活躍する大洗のご当地プロレスラー、オーアライダーも那珂市のご当地キャラ、ひまわり大使ナカマロちゃんと一緒にプロモーションしてました。オーアライダーがデビューしたのが、昨年の「海楽フェスタ」。1年経ってデビューの地に戻ってきたのです。
オーアライダーと記者との間に共通の知人がいて、地元ネタに花が咲いちゃいました。
会場に隣接する大洗リゾートアウトレット1階にある、地元の物産を販売する「大洗まいわい市場」はすごい人。餡香やきは大行列で、2階で開催されたグルパングッズ販売と、イラスト・コミックのコミュケーションサイト「TINAMI」主催で行われたイラストコンテスト「大洗女子学園 芸術コンクール」にも多くの人が。この他に大洗文化センターで「モデルグラフィックス」誌主催の「MG的模型戦車道選手権」の予選として、作品が展示されてましたよ。
大洗の町中では、既に開催中のスタンプラリーに加え、23・24日限定の「ガルパン街なか かくれんぼ」を実施。アニメ4話に登場する商店街の店舗などに、登場キャラのパネルが設置されてました。キャラは総勢51人。西住みほだけ2バージョンあるので、全部で52のパネルが設置されてます。どこにあるとは明らかにされてないので、皆町を隅々まで歩きながら楽しんでました。ガルパン仕様のレンタサイクルで回る人も。
キャラの配置はランダムに見えるけど、戦車モデラーの中村桜さん演じる佐々木あけびがホビーショップにあったり、機械類を取り扱うお店に自動車部のツチヤがいたりと、結構考えられてます。
そして感じられるのが、地元の方々の愛情。ダージリンのパネルにはティータイムのテーブルセッティングがついてたり、キャラの解説がついてたり。ガルパン関連の楽曲を流してるところもありました。
結構交通量の多い場所なので、町の職員や商工会、交通安全協会の皆さんが事故が起きないよう、安全確保に努めてくれます。お店の方も「あそこにもあるよ」と、判りにくい場所にあるキャラを親切に教えてくれたり。参加者との交流も生まれてました。いやぁ、大洗に愛されてるなぁ。
磯前神社には、大洗の発展とアニメ2期を願う絵馬がいっぱい。秋山優花里役の中上育実さんによる絵馬もあったけど、見つけられたかな?(ヒント:楕円形)
5月には大洗で同人誌即売会(オンリーイベント)も開催予定。最終回放送は近いけど、まだまだ大洗は熱い! 5月12日までの土日祝日限定で、茨城県内のJRと私鉄各線が乗り放題になるお得なきっぷ「ときわ路パス」もあるので、まだの人も常連の人も、大洗へPanzer vor!!
(取材:咲村珠樹)