おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【うちの本棚】166回 宇宙の騎士テッカマンブレード/鈴木典孝(スタジオOX)

「うちの本棚」、今回は『宇宙の騎士テッカマンブレード』のコミカライズ作品を取り上げます。
 アニメ作品とはかなり違った展開になっていますが、このコミック版もなかなかの名作ではないかと思います。


  • 【関連:165回 遊星仮面/楠 高治】

    テッカマンブレード

     
    本作は1992年2月~1993年2月まで、テレビ東京系で放送されたタツノコプロのアニメーション『宇宙の騎士テッカマンブレード』のコミカライズ作品である。

    とはいえ、アニメ作品とコミック作品の進行がほぼ同時だったため、アニメの設定やストーリー構成をコミック版に全ていかすことができず、アニメとは別のオリジナル作品といってしまっていい仕上がりになっている。

    コミック版の作者である鈴木典孝はあとがきで、自分の体験からビデオなどの機器が普及していなかった時代にはテレビ放送の余韻を求めてコミカライズ作品を楽しんだというエピソードを披露しているが、ビデオも普及した本作の時代、進行上の問題だったとはいえ、テレビ放送とは全く違う展開となったコミック版は、それはそれでアリなのかもしれない。

    基本設定くらいは踏襲しているのだろうと思われるかもしれないが、ラダムという地球を侵略してくる宇宙生物や、ラダムを指揮する敵のテッカマンの存在、またそのラダムから地球を守る主人公テッカマンブレードとその仲間スペースナイツの存在程度が共通しているだけで、驚いたことにスペースナイツの母体である宇宙開発機構やその長であるフリーマンの設定が別のものになっていたりする。

    またコミック版の特徴としてテッカマンの乗用マシンとしてブレード以外にもそれぞれペガスを所有しており、中でもテッカマンダガーのペガスのエピソードが中盤の見せ場になっている。

    アニメ版もハードな内容で名作だったと思うが、コミック版もなかなか興味深いものになっている。展開がオリジナルなだけにもう少しじっくりと描かれていたらという気がしないでもないが、スピード感のある流れで一気に読め、ラストも余韻の残るものである。

    ちなみに『宇宙の騎士テッカマンブレード』はほかに講談社の「デラックスボンボン」に井上大助によるギャグタッチのコミカライズ作品も連載されていた。

    初出/角川書店「月刊コミックコンプ」(1992年3月号~9月号)
    書誌/メディアワークス・メディアコミックス

    (文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/

    あわせて読みたい関連記事
  • プチブロックで作ったテッカマンブレードがTwitterで話題。
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    プチブロックでテッカマンブレードを再現 作品愛は30年経っても不変

  • 猫目 ユウWriter

    記事一覧

    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
    仮想空間「Second Life」やってます^^

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • コラム・レビュー

    複数社から発売された『墓場鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』を振り返る

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】262回 こいきな奴ら/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】261回 ティー・タイム/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】260回 5(ファイブ)愛のルール/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】259回 デザイナー/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】258回 わらってクイーンベル/一条ゆかり

  • トピックス

    1. 派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      「とても茨城県」というつぶやきとともに、Xに投稿された一枚の写真。そこには、一般的な工事現場のイメー…
    2. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…
    3. フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      フォロワー1万人超の“焼き芋アカ”が美容アカに SNSで繰り返される「アカウントロンダリング」の構造

      SNS上には今日も、「○○が当たる!」といったプレゼント告知があふれています。いまや日常の景色と言っ…

    編集部おすすめ

    1. 善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      宮城県女川町が11月26日、公式Xで発信した「クマ出没情報」が、後に「生成AIによるフェイク画像」に基づく誤通報だったことが判明。通報者自身…
    2. エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      ロッテは自社商品の各ブランドサイトで、アレンジレシピを公開しています。その中に「パイの実」をエビチリソースと卵で炒め合わせた「チリ玉パイの実…
    3. 100tハンマー

      伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで開催

      「シティーハンター」連載開始40周年を記念した原画展「シティーハンター大原画展~FOREVER, CITY HUNTER!!~」が、11月2…
    4. 宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      11月22日午前、X(旧Twitter)のトレンドに「宙組公演特別メニュー」が一時浮上し、ファンの間で大きな話題となりました。きっかけとなっ…
    5. ミラノで開催「IQOS Curious X Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      ミラノで開催IQOS X SELETTI「Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      フィリップ モリスが、イタリアでイベント「Sensorium Worlds」を開催。今回は、この壮大なイベントの模様とともに「IQOS To…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト