機械人形ナナミちゃん ニコニコ静画に投稿され、先月話題になった、SF漫画『機械人形ナナミちゃん』という作品ご存じだろうか?

 本作は木星在住さんという漫画家が、ある出版社からスカウトされ、1年かけ取り組んだ作品。
企画会議も通り、今年1月には連載も決定していたそうだが、他の仕事を断り、いざ原稿を書き始めようとした時になって、担当から「最後に編集長のチェックがあるので、それを通したら書き始めましょう」と言われたそう。

 ところがその後、木星さんを待ち受けていたのは、編集長からの“抽象的”なリテイクの数々。時に「企画会議ってなんのためにあるの?」と混乱することもあったそうだが、ネームの根本からの修正を求められてもそれに耐え、真剣に作品と向き合った結果に言い渡された言葉は「それじゃあ別作品だよね」。連載の道は閉ざされたという。

 少し前ならば、こうしたボツ漫画は決して世に出ることはなかったが、ネットが普及した今の時代。公開する手段はいくらでもある。
そこで木星さんは、作品の真価を読者に委ねるため、6月23日、ニコニコ静画に『機械人形ナナミちゃん』第1話を投稿。閲覧数は7月16日時点、71,470を超えている。

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機械人形ナナミちゃん

 そんな注目を集めた作品に7月16日、大きな進展があった。なんと、本作を出版してくれる出版社が見つかったという。木星さんは、7月15日に公開した第2話の説明で、「とある出版社から単行本化のオファーを受けましたので7月16日に 打合せに行ってきます。上手くいくといいな。」と近況を明かしていた。
打ち合わせはうまく行ったようで、木星在住さんはTwitter(@mokuseidayo)で「マイクロマガジン社のマンガごっちゃ様から 単行本の発売が確定しました。 一巻は5話+α?で年内発売目標です。」と早速報告している。

 さらに直後には、マンガごっちゃのTwitter(@mangag)からも「ということで、木星在住先生と打合せしてきましたー! とりあえず決まったことは「いろいろ(オープンに)やろうぜ」ってスタンスで面白くなりそうです。こちらも初体験なことが多いのでドキドキですが、 応援いただけるとありがたいです。よろしくお願い致します!」という報告を裏付ける投稿もされている。

 第1話投稿時に木星さんは、「つまらなかったら編集長の勝ちだし、面白かったら自分の勝ち。」とコメントしていたが、もしかするとこの勝負、ネットという力も借り、今後大きく展開する可能性を見せはじめている。

参考:
ニコニコ静画『機械人形ナナミちゃん』http://seiga.nicovideo.jp/comic/11985