おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

どこでも映像合成&ホログラフィック 新世代のライブエンタテインメント体験してきた

update:

2017年9月12日、Zepp DiverCity(TOKYO)で開催されたアンジュルムとアップアップガールズ(仮)のツーマンライブ「アンジュルムVSアップアップガールズ(仮) ~THANK YOU! DEAR MY FRIENDS~」。夢の対バンということもあり、互いの曲のマッシュアップからスタートしたものの、アンジュルムの和田彩花さんが「最強のライブアイドルを決めたい」と提案し、アンジュルムが先攻・アップアップガールズ(仮)が後攻となってライブパフォーマンスを競うことに。

  • 白熱した対決は甲乙つけがたく、結局じゃんけんで勝負を決することに。アンジュルムから勝田里奈さん、アップアップガールズ(仮)からは森咲樹さんが代表として対決しましたが、勝田さんグーに対し森さんチョキでアンジュルムの勝利。ショックでアップアップガールズ(仮)のメンバーがへたり込む場面もありましたが、終わってしまえばノーサイド。最後には全員で双方の曲をメドレーで歌いました。

    そしてアンコール。ここで初の試みが行われました。このライブは渋谷TOWER RECORDS地下1階のイベントスペースでライブビューイングが実施されたのですが、この会場にNTTのイマーシブテレプレゼンス技術「Kirari!」を使って映像を伝送し、3Dホログラフィックステージシステム「Eyeliner」でステージ上に投影し、あたかもアーティストがその場にいるように見せる……というもの。NTTドコモ、NTT研究所、NTTぷららが共同で行うトライアルです。

    ステージに登場したアンジュルムの和田彩花さん、アップアップガールズ(仮)の佐保明梨さんが、ハロプロエッグ時代の10年前から、この対バンライブに至った感慨を話した後、いよいよスタートです。曲はライブのタイトルにもなっている松浦亜弥さんの曲「笑顔に涙~THANK YOU! DEAR MY FRIENDS~」。ライブビューイング会場にハートマークが舞う中、2人の姿が3Dホログラフィックで現れました。



    「Kirari!」は、次世代映像圧縮化規格の「H.265/HEVC」とロスレス音声符号化技術「MPEG4-ALS」、そして超高臨場感メディア同期技術「Advanced MMT」を組み合わせて実現したもの。特にAdvanced MMTは、映像中の任意の被写体を切り抜いて音声情報と他の映像情報と完全に同期させて伝送する点が非常に優れた特徴です。背景をプロジェクションマッピングで投影し、さらに被写体を3Dで投影することで、これまでにないリアルさを実現しています。

    実際に3Dホログラフィックで投影された2人の姿は、本当にそこにいるかのよう。

    この「Kirari!」のすごい点は、従来のクロマキー合成と違って背景を問わないところにあります。クロマキー合成では、ブルーやグリーンなど特定の色を指定して透明化することで合成を実現するために、その色の背景を持つ専用のスタジオなど特殊な環境が必要な上、合成される被写体は透明化する色を使用できない(かつてお天気コーナーに出演したガチャピンが、クロマキー合成の背景色であるグリーンと同色のため、透明になった事件がありましたね)という制限がありました。しかし「Kirari!」では被写体の輪郭を自動的に抽出し、切り抜くことが可能。このため、今回のようにスタジオではないライブ会場からでも、被写体のみを切り抜いて映像を送れるという訳です。

    しかも3Dホログラフィックの完成度も非常に高く、後ろにちゃんと照明に合わせた「影」ができるなど、細かいところまでリアルです。


    歌い終えると、再び2人は舞うたくさんのハートに包まれて消えて行きました。そして通常の映像投影に。ライブは全員で歌った2回目のアンコール曲、モーニング娘。の「青空がいつまでも続くような未来であれ!」で終了。

    「Kirari!」は2020年の実用化に向けて開発を進めているとのこと。今回は1ヶ所からの映像伝送でしたが、複数の場所から被写体の映像を送って合成し、同時にライブセッションも可能。背景を問わないので、スポーツのライブビューイングも試合会場が移動してきたような臨場感のあるものになるそうで、これからの可能性を感じるイベントとなりました。

    (咲村珠樹 / 画像・編集部撮影)

    あわせて読みたい関連記事
  • NTTドコモビジネス、社名変更後初のTVCMに阿部サダヲさん&松たか子さん登場 ビジネスパートナー役で初共演
    エンタメ, 芸能人

    阿部サダヲ&松たか子が“夫婦役”からビジネスパートナーに NTTドコモビジネス新…

  • 「ブルーアーカイブ」の“ヘイロー”をARで再現する「ヘイローリンクシステム」 技術サークルが二次創作で開発
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「ブルーアーカイブ」の“ヘイロー”をARで再現するシステム 技術サークルが二次創…

  • シニア世代向け携帯電話「らくらくホン」シリーズの最新モデル「らくらくホン F-41F」
    商品・物販, 経済

    ドコモ、「らくらくホン F-41F」発表 6年ぶりの新モデル、8月上旬発売へ

  • バーチャル姿のままフライパンを振る!?あるVTuberが試みた画期的な料理企画
    インターネット, サービス・テクノロジー

    バーチャル姿のままフライパンを振る!?あるVTuberが試みた画期的な料理企画

  • NTTドコモ「Coltテクノロジーサービス株式会社に対する過払い接続料の返還請求訴訟の提起について」(2025年3月24日発表)
    社会, 経済

    ドコモ、「カケホーダイ」導入後に異変 コルトに過払い接続料返還を求め提訴

  • docomo ethical kitchen
    企業・サービス, 経済

    ドコモが「arrows N F-51C」のコンセプトムービー「docomo et…

  • 2023年は「オープンRAN元年」にする!バルセロナで「オープンRAN導入の最前線」についてパネルディスカッション
    企業・サービス, 経済

    2023年は「オープンRAN元年」にする!バルセロナで「オープンRAN導入の最前…

  • 綾瀬さん:お〜
    企業・サービス, 経済

    綾瀬はるかがドコモ開発の触覚共有技術を体験 新CM2月23日に放映開始

  • ドコモ「ビジネスマホパック」の新CM公開
    企業・サービス, 経済

    ドコモ「ビジネスマホパック」の新CM公開 賀来賢人が撮影後のインタビューで日々の…

  • 新CM 「スマホいつ持たせるか問題」篇CMカット01
    エンタメ, 芸能人

    子どもに「スマホいつ持たせるか問題」 庄司智春さんと藤本美貴さん出演のドコモ新C…

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 新商品「うまかっちゃん<濃厚新味 あごだしとんこつ>」
    商品・物販, 経済

    焼きあごの香ばしさと細カタ麺の共演 「うまかっちゃん<濃厚新味 あごだしとんこつ…

  • 北海道産のチーズを2種類使った秋冬限定フレーバー「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」
    商品・物販, 経済

    北海道産チーズのW使い!「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」がこの秋登場

  • クリスプ のりしおバター味
    商品・物販, 経済

    カルビー、「クリスプ のりしおバター味」発売 レアな“ホシ型クリスプ”も登場

  • 特別災害対策本部車(国土交通省)
    社会, 経済

    消防車も自衛隊車もNERVも! 防災車両がずらり「ぼうさいモーターショー2025…

  • ウィキペディアのページビュー
    インターネット, サービス・テクノロジー

    AI時代でウィキペディア苦境 人間の閲覧数8%減、財団が警鐘

  • ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロティカ解禁」方針
    インターネット, サービス・テクノロジー

    ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロテ…

  • トピックス

    1. ガシャポンの魅力&世界観を全身で体感!「ガシャポンに超夢中展2025」内覧会レポ

      ガシャポンの魅力&世界観を全身で体感!「ガシャポンに超夢中展2025」内覧会レポ

      10月31日から11月2日までの3日間、池袋・サンシャインシティにて「ガシャポンに超夢中展2025」…
    2. 缶コーヒーの「#マーク」に隠された意味 コカ・コーラ社に聞いた“色が変わる理由”

      缶コーヒーの「#マーク」に隠された意味 コカ・コーラ社に聞いた“色が変わる理由”

      徐々に寒さが増し、そろそろ温かい飲み物が恋しくなってくる季節。近ごろSNS上で、「ホットコーヒー缶に…
    3. イーロン・マスク氏、Xの不具合を報告 「フォローしている人の投稿が少ない」原因はバグだった

      イーロン・マスク氏、Xの不具合を報告 「フォローしている人の投稿が少ない」原因はバグだった

      SNS「X(旧Twitter)」のオーナーであるイーロン・マスク氏が、日本時間10月27日深夜、自身…

    編集部おすすめ

    1. 集英社、生成AIによる権利侵害へ厳正対応を表明 Sora2公開後の「類似映像大量発生」を受け

      集英社、生成AIによる権利侵害へ厳正対応を表明 Sora2公開後の「類似映像大量発生」を受け

      集英社は10月31日、生成AIを利用した権利侵害への対応について声明を発表しました。今秋、OpenAI社の生成AIサービス「Sora2」が公…
    2. 菊水産業「お菊社長」なりすましに接触 ウザ絡みして目的を探ってみた

      菊水産業「お菊社長」なりすましに接触 ウザ絡みして目的を探ってみた

      10月14日、国産つまようじ製造を手掛ける「菊水産業株式会社」の公式Xアカウントが、同社代表取締役・末延秋恵さんのなりすましアカウントが出現…
    3. 職員室を自由に物色! 体験型展示「あの職員室」が11月15日より開催

      職員室を自由に物色! 体験型展示「あの職員室」が11月15日より開催

      株式会社チョコレイト(CHOCOLATE Inc.)は、あの頃入りたくても入れなかった職員室を体験できる展示企画「あの職員室」を、11月15…
    4. カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      2025年10月23日22時より配信されたNintendo公式番組「カービィのエアライダー Direct 2」にて、ゲームクリエイター・桜井…
    5. 「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      ANYCOLOR株式会社は10月22日、所属ライバーである甲斐田晴さんをめぐる極めて悪質な誹謗中傷・荒らし行為への対応結果を、加害者側の意識…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト