ササばかり食べるパンダ、死体をあさるハイエナ……でもそれって、実は先入観による誤解かも!?そんな誤解を受けている生き物たちの本音を代弁するような本が2018年4月12日、学研プラスから発売されます。
「いきもの最強バラエティー ウソナンデス~ぼくたち、かんちがいされています!~」(税別900円)というこの本、お話などの影響で実際の生態とは違う「かんちがい」をされている、色々な生き物の本当の姿を紹介しています。
たとえば、ササや竹が好物とされているパンダ(ジャイアントパンダ)。実は分類上はクマに近い、ネコ(食肉)目クマ科の生き物。頭骨や歯、消化器官の構造もクマそのもので、いわゆる草食動物のものではありません。本来ジャイアントパンダは「肉を中心とした雑食性」で、進化の過程で生き延びた環境がタケやササの豊富な場所だったので、やむなく手近なササを食べているに過ぎないのです。動物園のパンダがササをえり好みするのは、単に自分の知っている味に近いと安心して食べるからなんです。ちなみにジャイアントパンダとレッサーパンダ(イタチやアライグマに近い)は全く別の種類で、同じような中国の山岳地帯に生息していたので、区別するために「大きい方」という意味でジャイアントパンダと命名されたそうですよ(レッサーパンダの「レッサー」は「小さい方」という意味)。
死体をあさる「サバンナの掃除屋」とか「ひきょうもの」ハイエナ……なんてイメージで紹介されるブチハイエナ。実は統率された群れで追い立て役や襲いかかる役など役割分担し、システマチックに狩りを行う、非常に頭のいい動物。むしろ、集団で狩りをしつつも単発で襲いかかることを繰り返すライオンよりも、狩りの能力は高いんですね。ただ、どうしても体の大きさが小さいので、ライオンなどの大型肉食獣に蹴散らされて獲物をあけ渡し、後でまた食べに来ることがあるので「死体をあさる」と言われてしまうのだとか。
この他にも、「一匹狼」という言葉に反し、実は群れで生活して非常に結束力が強く、家庭的なハイイロオオカミ(だからローマを開いたロムルスとレムスの兄弟は「オオカミに育てられた」という伝説があるのですね)、命名の時に誤解があったシロサイやコモドオオトカゲなど、一般に信じられているイメージとは違う、生き物たちの「ほんとうの姿」が見えてきます。
子どもの学習だけでなく、大人にとっても生き物の誤解を解いて、ちょっとした話の種にもできそうです。ちなみに「ネコ(食肉)目」は肉食動物全般のくくりなので、ハイイロオオカミもネコ目(ネコ目イヌ亜目イヌ下目イヌ科)なんだよ、と子供に聞かれたら教えると、尊敬されるかもですよ。
画像提供:(株)学研プラス
(咲村珠樹)