フォントには、明朝体、角ゴシック、丸ゴシック、行書体など様々な書体が存在しますが、中でも明朝体のヒラギノ明朝は、伝統的な筆文字でありながら、きりりとした美しいデザイン性を兼ね備えたフォント。広告の見出しや書籍など様々な媒体に使用されています。

 この「ヒラギノ明朝体」を日頃から見慣れているせいか、こんな発想に行き着いた人がいます。グラフィックデザイナーのよねやまさんが卒業制作で作ったという「ヒラギノ銃」なるもの。Twitterでは、4500件以上「いいね」されるほど話題を呼んでいます。「数ある明朝体の中でもずば抜けて銃っぽいカタチをしていた」と、これまた独特の視点にすごく興味を惹かれます。

 よねやまさんにヒラギノ明朝の第3さんずいが銃に似ていると気づいたきっかけを伺ったところ「ヒラギノ明朝体の「さんずい」が一番形的にゴムを引っ掛けやすく、持ちやすかったからです」と意外にも、実際使用することを想定して考えていたようです。

 この鉄砲の仕組みはといいますと、ふつうのゴム鉄砲をほぼ踏襲しているそうで、中でゴムを引っ掛ける部分を引っ張っていて、引き金を引くと前に動いてゴムが発射される仕組みとか。

 素材はアクリル板でできており、他にも「さんずい」をデザインしたシリーズには、椅子、卓球のラケット、串、時計の針、スニーカーなどと合わせて、制作期間は半年ほどかかったそうです。日頃は、どんなモノに注目して作品を作っているのか伺ったところ「あんまり人が興味を持ってないものですかね。ニッチなものだと思います」とのこと。




 マニアックな着眼でありながらも、あまり違和感がない作品ばかりで驚きました。日頃、目にしているものや、気にもとめていないものでも、視点を変えれば面白い発見があるのかもしれませんね。

<記事化協力>
よねやまさん / Ricemountain(Twitter:@iamricemountain/Instagram:ricemountain)

(黒田芽以)