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同人界隈でも参考になるかも?「パクリ」と「パロディ」の境界線を「アサヒカメラ」が特集

 オマージュ、リスペクト、パロディ、翻案、二次創作、そしてパクリ……有名無名を問わず、既存の作品に類似した作品をどのように位置づけるのか、結構難しい問題です。2018年8月10日~12日に東京ビッグサイトで開催されるコミックマーケットでも、創作作品とともに、多くの二次創作の作品がサークルのスペースに並びます。はたして、パクリ(盗作)とはなんなのか。表現におけるオリジナリティとはなにか。そんな問題を考える特集が、2018年8月20日発売の「アサヒカメラ」9月号に掲載されます。

  •  TwitterやInstagram、FacebookといったSNSの普及によって、写真や文章などの創作表現を外部に発信する人が非常に多くなりました。写真の場合でいえば、投稿された写真にタグや位置情報がつけられることもあり、撮影した場所の情報までも即座に共有されてしまいます。ネットで見た場所に実際に行ったり、同じような写真を自分も撮影してみたい!という人も多いと思います。しかしここで、ちょっとした疑問が。

    「他人の写真とそっくりな写真を撮って、ネットにアップしても大丈夫?」
    「素敵な写真を見て、それをイラストにして発表してもOK?」
    「有名な写真や動画のパロディって、どこまで許されるの?」

     投稿された他人の画像や動画をそのまま自分の作品として発表するのは論外ですが、それを元にして同に見えるように撮影したものや、別の表現手段で作品を作ることは、よくある話だと思います。そして中には、知らない人から「マネしないでください」とか、「勝手にパクらないで」と抗議される事例も。こっちはその作品を知らなくて、何気なく撮影しただけなのに……そんな時、どのように対処したらいいんでしょうか。

     表現には膨大な数の先行作があるため、このような問題は避けては通れない面があります。「アサヒカメラ」9月号では、この問題を「徹底検証 パクリとパロディー 法的な境界線はどこにあるのか?」と題した特集で考察。著作権問題に詳しい福井健策弁護士が、これらの問題を徹底解説します。

     1960年代の赤瀬川原平「千円札」裁判など、表現におけるパロディや先行作に対するオマージュなどの要素が争われた例は多くあります。しかし現代は誰でもネットに自分の作品を気軽にアップできる時代になりました。同時に、様々なことが容易に検索できる時代でもあります。福井弁護士は指摘します。

    「今までなら気づかれないまま埋もれていた論文盗作などが、すぐに検証できるなどいい面はあります。一方で、検証サイトなどによる印象操作が比較的容易という問題点もあります」

     たとえ法律的に問題がなかったとしても、ネットで炎上することによってダメージを受けるケースもあるわけです。作品を創作する際に影響を受けたものに対し、リスペクトやオマージュといった言葉が使われますが、リスペクトがあれば何をしてもいいのか?という問題は残ります。

     今回の特集では写真だけではなく、映画や同人誌、まんがに関する裁判やトラブルの事例も紹介。パクリとパロディーについて徹底分析しています。表現という行為の根幹に関わる問題だけに、趣味や仕事で「表現」に関わる人だけでなく、SNSの利用者にとっても必読と言えるでしょう。

     また、巻頭特集ではプロの写真家のみならず、アマチュア向けの写真コンテストでも女性の活躍が目覚ましいことから「女性写真家がすごい!」と題して、今注目の女性写真家17人をピックアップし、73ページにわたって紹介します。ユニークな作品で知られる「89歳の自撮りばあちゃん」西本喜美子さんのグラビア&インタビューや、TBS系「クレイジージャーニー」でも出演して話題のヨシダナギさんの新作も掲載。表紙も梅佳代さんの新作となっています。

     このほか、第2特集として写真のタテ・ヨコの比率と作風との関係を考える「アスペクトで写真が変わる」、8月23日が楽しみな「速報!ニコンミラーレス発表」、52ページに第増量したミラーレスカメラの特別付録「MIRRORLESS STYLE #11」などの内容が入った「アサヒカメラ」9月号(税込900円)は、8月20日に朝日新聞出版より全国の書店などで発売されます。

    情報提供:朝日新聞出版

    (咲村珠樹)

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