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フィンランド海軍新型コルベットの戦闘システム最終候補にサーブを選定

 フィンランド海軍が進める水上戦力近代化計画「Laivue(戦隊)2020」で調達する汎用コルベットに採用する戦闘システムについて、フィンランド国防省は2019年4月8日(現地時間)、スウェーデンのサーブ案を最終候補とすると決定し、4月9日に発表しました。まだ正式な契約には至っていませんが、近い将来正式な契約が結ばれるものと思われます。

  •  フィンランド海軍の水上戦力近代化計画「Laivue 2020」は、2013年に退役したフィンランド海軍旗艦でもある機雷敷設艦ポフヤンマー(Pohjanmaa)に加え、2020年代中頃に設計寿命を迎えるヘメンメア機雷敷設艦2隻と、ラウマ級ミサイル艇4隻、計7隻を4隻の汎用コルベットで置き換える計画です。比較的小規模のフィンランド海軍は、機雷の敷設と小回りの利くミサイル艇を中心とした水上戦力を構成しています。過去の戦争を見ても、国外からの脅威(12世紀のスウェーデンや、それ以後の帝政ロシア、旧ソ連)は陸路からやってくるため、航空と陸上に戦力の重心を置いてきました。

     この計画で建造される汎用コルベットは、2013年までフィンランド海軍の旗艦を務めたポフヤンマーの名を受け継ぎ、ポフヤンマー級コルベットとされます。4隻建造予定のうち、艦名が決まっているのはタイプシップのポフヤンマー(「北(太陽が沈みゆく底)の土地」を意味する、フィンランド北部から西部にかけて広がる広大な伝統州の名称)のみ。それ以外は未定となっています。

     今回、旧来の機雷敷設艦やミサイル艇の新造ではなく、汎用フリゲートとしたのは、国際協力で戦闘艦を派遣する際など、様々な任務に適応するためとされています。1番艦となるポフヤンマーの建造は2019年からフィンランドの造船会社ラウマ・マリン・コンストラクションズで始まる予定。その後順次建造が始まり、2021年~2025年までに全ての建造が終わり、2028年に全ての戦力化が達成されて計画を終了することになっています。総予算は12億ユーロを予定していますが、フィンランド国防省はこの計画により、現状のような戦力構成を維持した場合に比べ、将来的に400~600億ユーロの効果を見込んでいます。

     サーブは2018年にフィンランド海軍のハミナ級ミサイル艇の能力向上改修で、射撃管制を含むC4Iシステム「9LV」や軽魚雷を納入した実績があります。2017年夏の初期説明にはサーブのほか、ドイツのアトラス・エレクトリックとカナダのロッキード・マーティン・カナダが参加していましたが、2018年10月の最終段階ではサーブのみが応札するという状況になっていました。フィンランド海軍の艦艇にはサーブ製のシステムが多く採用されており、実質的にサーブが受注するような空気になっていたのかもしれません。

     フィンランド国防省によると、これからとサーブとの間で、詳細な内容が協議されることとしています。サーブによるとまだ正式な発注書は届いておらず、契約の締結には至っていないとのこと。しかし正式契約はそれほど遠くないものと思われます。重要な戦闘システムの選定を終え、フィンランド海軍の「Laivue 2020」は、大きく前進したといえるでしょう。

    参考:フィンランド国防省
    Image:SAAB

    (咲村珠樹)

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