スウェーデン海軍とサーブは2020年6月9日(現地時間)、サーブが開発した水上艦・潜水艦共用の新型短魚雷の発射試験を2月と3月にカールスクローナ沖のバルト海で実施し、無事に成功させたと明らかにしました。この新型短魚雷は今後Tp 47として、スウェーデン海軍のコルベットと、ゴトランド級潜水艦の双方に装備される予定です。
サーブが開発した新型短魚雷はSLWT(Saab LightWeight Torpedo)という略称で呼ばれており、現用のTp 45短魚雷を置き換える目的で2016年に開発計画がスタートしました。目標への誘導はパッシブ式とアクティブ式が併用され、有線誘導式となっており、目標への最終段階では搭載した水中聴音センサーが使われます。
水上艦での発射試験は、ベスビュー級コルベットのカールスタッド(K35)を使って実施されました。カールスタッドのマグヌス・アルムクヴィスト艦長は「バルト海は、対潜水艦作戦を実施するのが非常に困難な海域です。塩分濃度や気温といった条件のほか、海丘が多いため深度が浅く、水中兵器が発展し続けることはとても重要なのです。新しい短魚雷は、我々海軍にとって有効なものとなります」とコメントしています。
開発を担当したサーブ・ダイナミクスのヨハンソン氏は「SLWTはスウェーデンとフィンランドの海軍に、水上および海中からの脅威に対する抑止力と、場合によっては撃破する能力を提供します。今回の試験を正常に完了したことは、この共同開発プロジェクトにとって大きな節目となります」とのコメントを発表しています。
スウェーデン海軍はこの短魚雷を戦力近代化計画における魚雷兵装として重要視しており、2024年までに現用のTp 45短魚雷の後継として置き換えを完了する予定。フィンランド海軍はハミナ級ミサイル艇とポーヤンマー級コルベット用に、この短魚雷を調達する計画となっています。
<出典・引用>
スウェーデン海軍公式ブログ
サーブ プレスリリース
Image:スウェーデン国防省/SAAB
(咲村珠樹)