アメリカ海軍は、現用のオハイオ級に代わる次世代の戦略ミサイル原潜「コロンビア級」について、2020年11月5日付で1番艦の建造と2番艦の先行建造をジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボートに発注しました。発注総額は約94億7400万ドル(約9800億円)で、建造は2021会計年度(2020年10月~)に始まります。
ICBMと並びアメリカの核戦力の中核をなす、海上核戦力のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を運用する戦略ミサイル原潜。現在は1981年から就役したオハイオ級が担っていますが、その次世代型として計画されたのがコロンビア級です。
全長約170.7m、排水量は2万1000トンに迫るという、アメリカ海軍史上最大の潜水艦となるコロンビア級。12隻の建造が計画されており、現在はワシントンD.C.から命名された1番艦コロンビア(SSBN-826)と、ウィスコンシン州から命名された2番艦ウィスコンシン(SSBN-827)の艦名が公表されています。
建造に先立つ研究開発は2017年9月21日付の発注で始まっており、ジェネラル・ダイナミクスによると、戦略ミサイル原潜の根幹をなすミサイル発射管モジュールをはじめ、すでに設計の90%は熟成されているといいます。これは2004年から就役したアメリカ最新の原潜(攻撃型原潜)、バージニア級の開発過程と比較しておよそ倍のスピード。
ジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボートのケビン・グラニー社長は「わが社はアメリカ海軍の重要な装備のため、先行設計を含め約10年ほどコロンビア級建造に向けて準備を進めてきました。その結果、コロンビア級の設計作業は、これまでで一番の進捗状況となっています。この重要な計画を順調に進めるための、海軍と議会のご協力に心から感謝します」とのコメントを発表しています。
コロンビア級はこれまでの原子力潜水艦と違い、建造時に就役期間(40年あまり)分の核燃料を搭載し、燃料交換による長期間のドック入りを不要としています。1番艦コロンビアは2027年に引き渡される見込みで、先行建造がはじまる2番艦ウィスコンシンは、2024会計年度予算での建造が予定されています。
※初出時、排水量の表記を誤って表記していました。正しくは「2万1000トンに迫る」です。お詫びして訂正いたします。
<出典・引用>
アメリカ国防総省 契約情報
ジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボート プレスリリース
Image:U.S.Navy/GDEB
(咲村珠樹)