試験中だったフランス海軍の最新鋭原子力潜水艦、シュフラン(S 635)が2020年11月6日(現地時間)、フランス南東部のトゥーロンにてフランス海軍に引き渡され、正式に就役しました。これからシュフランは乗組員の訓練や試験を実施し、2021年の戦力化を目指します。
シュフランは、老朽化したリュビ級原子力潜水艦の後継として、計画名から「バラクーダ型」として開発が始まりました。排水量は水上4700トン/水中5300トン級と、リュビ級と比較してほぼ倍の規模となっています。
フランスでは6隻の建造が予定され、1番艦となるシュフランは予定より遅れて2019年7月に完成し、18世紀のフランス海軍提督ピエール・アンドレ・ド・シュフランにちなんで命名されました。その後はフランス軍事省装備総局のもと、引き渡し前の各種試験に入っています。
原子炉は2019年末に運転が始まり、海上試験で初潜航を実施したのは2020年4月28日。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大という困難な状況下で、試験は慎重に進められました。
F21魚雷、エグゾセ対艦ミサイルと並び、シュフランの主要兵装となるのが巡航ミサイルのMdCN(MBDA製)。空中発射式のストームシャドウを艦船用に改良したもので、フランス海軍の汎用フリゲート(FREMM)に続き、2020年10月20日に最初の発射試験を成功させました。
これに先立つ2020年9月15日には、初代艦長としてセバスチャン・コズン中佐が着任。63名の乗組員を統率します。
11月6日、フランス南東部のトゥーロン港で開催された就役式典では、フローレンス・パルリ軍事大臣をはじめ官民の幹部が出席。シュフランを正式にフランス軍に移管する文書の調印を行いました。
シュフラン級原子力潜水艦は6隻が建造される予定で、2番艦デュゲイ=トルーアン(17世紀の海軍提督ルネ・デュゲイ=トルーアンにちなむ)は2022年完成予定となっていますが、3番艦トゥールヴィル(17世紀の海軍提督トゥールヴィル伯アンヌ・イラリオン・ド・コタンタンにちなむ)、4番艦ド・グラス(18世紀の海軍提督フランソワ・ジョゼフ・ポール・ド・グラスにちなむ)、5番艦リュビ(フランス語でルビーの意)、6番艦カサビアンカ(18世紀の海軍提督リュック=ジュリアン=ジョセフ・カサビアンカにちなむ)とともに、2030年まで就役が延期されることになっています。
<出典・引用>
フランス軍事省装備総局 ニュースリリース
Image:DGA/フランス海軍/MBDA
※一部艦名表記に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
(咲村珠樹)