2019年4月2日(現地時間)、アメリカ上院で開かれた陸軍近代化に関するヒアリングで、陸軍の将来計画などを担当するG-8の責任者、ジェームス・F・パスカレット中将は、開発中の新しい双眼鏡型暗視ゴーグル「ENVG-B(Enhanced Night Vision Goggle-Binocular)」が、10月にも韓国で実戦部隊による実地試験を計画していると証言しました。これは携行する銃の照準器とワイヤレスにつながり、わざわざ覗かなくても視界の中に照準器が映し出されるという、画期的なデバイスです。
ENVG-Bは、これまでの暗視ゴーグル(NVG)と同じく、赤外線映像を利用したもの。ヘルメットにあるマウントに装着し、双眼鏡と同じく両目にあてがうようにして使用します。使用しない時には左右にはね上げることが可能。
画期的なのは、携行する銃につけられた照準器とワイヤレスに接続できるということ。これにより、わざわざ銃の照準器を覗き込まなくても、暗視ゴーグルの視界の中に照準器の情報が合成され、狙いをつけることが可能になります。照準器を覗く手間がはぶけるため、その分早く射撃が可能になるというわけです。
これまで赤外線を使った暗視ゴーグルの映像は、緑色の映像装置を使っていたため、視界が独特な緑色になっていました。しかしENVG-Bでは、新たに白色の映像装置を採用したので、昼間と同じような状態で風景を見ることが可能です。
陸軍将来コマンドのジェームス・リチャードソン中将はこのENVG-Bについて「これは絶対的な勝者になり得ます。実際に使って射撃をしてみましたが、これまでで一番使いやすいものでした」と絶賛しています。「これは我々のレンジャーや歩兵にとって、非常に素晴らしいものになります。なにしろ暗視ゴーグルを使っても、昼間の射撃訓練場のように見えますからね。射撃の腕も上がりやすくなりますし、夜間の作戦遂行能力も上がるでしょう」
10月にも予定される韓国での実地試験に先立ち、4月11日にテキサス州オースティンで開かれた説明会などで、陸軍はこのENVG-Bのデモンストレーションを行う予定です。
Image:U.S.Army
(咲村珠樹)