フランス海軍の「バラクーダ型」として計画された新型原子力潜水艦の1番艦が完成。2019年7月12日(現地時間)、シェルブールでマクロン大統領出席のもと、完工式を行いました。艦名は18世紀のフランス海軍提督の名から「シュフラン」と命名されています。

 フランス海軍の新しい攻撃型原潜として計画されたシュフラン。1980年代から就役したリュビ級攻撃型原潜の後継として2006年に6隻分の予算が計上され、建造が始まりました。排水量はリュビ級のほぼ倍となる水上4700トン/水中5300トン。全長99m、船体直径(全幅)8.8mの艦です。

 メインの動力源となる加圧水型原子炉は、ル・トリオンファン級弾道ミサイル原潜や空母シャルル・ド・ゴールで採用されているもの。ウォータージェットと、原子炉で発電した電力で電気モーターを駆動するターボ・エレクトリックを併用するハイブリッド推進システムを採用しています。

 武装はF21有線誘導魚雷のほか、SM39改良型エグゾセ対艦ミサイル、巡航ミサイルを装備。乗組員は65名、これに加えて特殊部隊も乗艦してコマンドー作戦も可能となっています。

 完工にともない、この新しい潜水艦は「シュフラン」と命名されました。由来となっているのは18世紀フランス海軍の提督、ピエール・アンドレ・ド・シュフラン(1729〜1788)。シュフラン提督の名を冠した艦船としては、1791年(没後わずか3年)に就役した初代の戦列艦から数えて8代目。潜水艦としては初となります。

 フランス海軍のプラズック参謀長は、式典で「シュフランは海の狩人です。空母を守るボディガードでもあり、巡航ミサイルによってスナイパーともなります。このシュフランは、我が海軍の潜水艦史に新たなページを書き加えます」と述べ、フランス海軍における潜水艦戦力の中核を担う艦であることを強調しています。

 シュフランは2020年初頭にも洋上試験を開始する予定。フランス海軍ではシュフラン級原潜を2060年代まで運用する予定としています。

<出典・引用>
フランス海軍 プレスリリース
Image:Marine Nationale

(咲村珠樹)