世の中には様々な種類の昆虫が生息していますが、まさか鮭の切り身に似た蛾がいるなんて……。思わず「美味しそう」と言ってしまうような蛾の画像を、昆虫好きの、もとさん(@motonomusi)がTwitterに投稿し、話題になっています。

 もとさんは、ものごころがついた頃から昆虫にハマっていて、大学では森林生態学(昆虫専門)を専攻していたという、無類の昆虫好き。特にキラキラした色の昆虫が好きで、カナブンやタマムシは、輝く色がなんのために存在するのか?どうやって輝いた体を作っているのか?など、興味が強かったとのこと。

 就職してからは、生き物にはあまり関わってこなかったようなのですが、今年から仕事の合間に自然観察に出かけるようになったのと、最近は撮影機材が進化し、安価なカメラやスマホでも、綺麗な写真や動画が撮影できるようになってきたので、あらためて熱が入り始めたそうです。

 そんなもとさんが9月20日、自身のTwitterで「コスタリカの標高2500m付近で観察した、名前がわからないのでシャケの切り身ヤママユと呼んでるサーモンピンクの蛾」というツイートとともに写真を投稿しました。

 すると、その写真には、羽が本当に鮭の切り身のように見える蛾が映っています。これが朝食に出されたら、思わず箸を伸ばしてしまいそうになるくらい、美味しそうなサーモンピンク。

 コスタリカの標高2500m付近で撮影したという、この“鮭の切り身のように見える蛾”ですが、もとさんによるとヤママユガの一種で学名は「Copaxa syntheratoides」というそうです。撮影したのは大学生だった頃で、コスタリカの国立公園の森の中でたまたま出会って、色がとても鮮やかで美しかったのと、鮭の切り身に似ていたため、面白がって撮影したとのことです。

 ただ、この蛾は研究対象ではなかったので、もとさんは簡単な撮影で済ませてしまい、今になって「真剣に撮影しておけばよかった」と後悔しているそう。筆者から見たら、上手く撮れていると思うのですが……。ちなみに、この場所は採集が禁止されている保護区で、もとさんは国立公園内の昆虫調査許可は持っていましたが、当該の蛾は捕獲しなかったとのこと。

 それにしても、世の中には面白い生き物がいるものですね。ちなみにこの蛾は、この蛾は1895年、イギリスの動物学者ウォルター・ロスチャイルド(第2代ロスチャイルド男爵)によって発見されたんだとか。地球上の生物種全てにバーコードをつけようというiBOL(international Barcode Of Life)プロジェクトによる、蝶・蛾の仲間オンライン図鑑を見ると、体や羽の色は個体ごとに異なる場合があるようで、もとさんが撮影した鮭の切り身のような色から、枯れ葉のような茶色まで、結構バラエティに富んでいます。

 もとさんに昆虫の魅力について伺うと、「昆虫は基本的に小さいので日常ではスルーされる存在ですが、種類によっては宝石のように輝いていたり、形が変わっていたり、どうやって生きているんだろう……と、驚くような虫が実はたくさんいます」と話してくれました。

 そして、「中にはあまり虫に興味がない人にとっても、しぐさが可愛かったり、つぶらな瞳だったり、かっこいいと思ってもらえる虫もたくさんいて、そういったわかりやすい生き物を観察するのが個人的に面白いと思うところです」と教えてくれました。

 さらに、「これからは身近な昆虫や、美しい昆虫の野生の姿を撮影して紹介していき、写真や動画を見てもらうことで、少しでも自然に目を向けるきっかけになれば嬉しい」と語っています。

<記事化協力>
もとさん(@motonomusi)

<参考>
iBOLプロジェクト「Lepidoptera Barcode Of Life」 Copaxa syntheratoides

(佐藤圭亮)