アメリカ海軍の無人空中給油機、ボーイングMQ-25試作機が2019年9月19日(現地時間)、イリノイ州のミッドアメリカ・セントルイス飛行場で初飛行を行ったとボーイングが発表しました。この初飛行でMQ-25は離陸から、所定のルートを飛行しながらの各部動作チェックを自動制御で行っています。
ボーイングMQ-25は空母から発艦し、ほかの作戦機に空中給油を行う無人機。これまで空母艦載機部隊の空中給油は、地上からのサポートを受けられない場合、作戦機の中から空中給油母機を選び「バディポッド」と呼ばれる専用の増槽を装備して行ってきました。
この場合、空中給油母機となった機体は、自分の燃料や兵装を減らさざるを得ず、作戦の効果が減少します。また、作戦で飛行したパイロットは、フライト後一定時間の休息が義務付けられており、機体とパイロット双方の面で戦力減につながっていました。
これを解消するために構想されたのが、空中給油用の無人機MQ-25です。無人のため、長時間滞空して僚機に空中給油を行えるばかりでなく、飛行したままで運用担当者を交代させることもできるので、機材や人員を柔軟に運用することが可能になります。
今回の初飛行を見守った、ボーイングのデイブ・プホルドMQ-25プログラムディレクターは「空でのMQ-25の姿は、まさに海軍とボーイングとの技術、システム、プロセスにおけるチームワークの象徴であり、同時にMQ-25が空母での任務を助けてくれると感じました」とコメントしています。
この初飛行は、今後海軍で実施される技術検証プログラムに先立つもの。2018年8月に海軍はボーイングに対し、MQ-25の技術開発モデル(EDM)4機を予算上限8億500万ドル(約865億6000万円)で発注しています。
アメリカ海軍の無人空母航空機プログラムマネージャ、チャド・リード大佐は「今日のフライトは、我々のプログラム、そして海軍にとって非常に喜ばしく、大きなマイルストーンとなりました。2年前、最初のMQ-25が我々のもとに到着した時から始まったこの試験飛行は、最初の大きな一歩となります。空母航空団とその司令官にとって、状況を一変させる能力を提供する大きな助けとなりました」と、その興奮を伝えています。
2019年9月にアメリカ連邦航空局(FAA)から試作機(Experimental)カテゴリーの耐空証明を得たMQ-25試作機。この初飛行以後も制御ソフトウェアをはじめ、各種の試験開発が続けられます。
<出典・引用>
ボーイング プレスリリース
Image:Boeing/U.S.Navy
(咲村珠樹)