オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場。そのトラックを2020人の一般参加者が、桐生祥秀選手らメダリストと一緒に走り初めするイベント「ASICS FIRST RUN」が開催され、来年の大会の舞台を一足先に楽しみました。

 東京2020オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナー(スポーツ用品)を務めるアシックスジャパン株式会社が、出来上がったばかりの新国立競技場を体験してもらおうと開催したこのイベント。2019年7月24日~9月30日のキャンペーン期間中に応募した中から選ばれた、ペア1010組・合計2020名の一般参加者が真新しい競技場に足を踏み入れました。

 参加者はお揃いの赤いTシャツ姿。それぞれ大きく「RUN for」の文字とともに、それに続く様々なフレーズの中から「自分は何を求めて走るのか」という気持ちを表すものを選んで着用しています。

 イベントに登場したのは、2020年の大会で活躍が期待される桐生祥秀選手、井谷俊介選手、中村貴咲選手といった現役アスリートと、有森裕子さん、河合純一さん、野口みずきさん、室伏広治さん、吉田沙保里さんといったレジェンド級のメダリスト、そして女優の土屋太鳳さん、タレントの渡辺直美さん、肉体派YouTuberフィッシャーズのみなさん、新国立競技場の設計者である隈研吾さん。

 渡辺直美さんがスターターを務め、まずはウォーミングアップを兼ねてトラックを1周することになりました。この時、フィッシャーズのザカオさんの頭には、脳波の測定装置が。

 気分転換に外を走ってくる、という人もいるように、適度に走ることは爽快感など、脳にプラスの刺激を与えるということが経験的に知られています。アシックスが脳波研究の専門家である慶應義塾大学理工学部の満倉教授監修のもと、脳波計から取得したデータをもとに感性を分析する評価キット「感性アナライザ」を使った実証試験によると、興味度・アクティブ度・心地よさ・満足度・ワクワク度を示す指標「RUNによるカラダ活性化指数」が上昇し、気持ちよく走ることで心がリセットされることが分かったといいます。これをザカオさんに体感してもらおうという訳です。

 ウォームアップランなので、走るペースはゆったりと。周りの景色を見まわしながら、2020年の大会ではどのようなドラマが繰り広げられるかを想像しながら走ります。

 続いて、入場時に渡されたリストバンドによる抽選で選ばれた一般参加者と、アスリートがチームを組んでの800メートルリレー。レッド・ブルー・イエロー・グリーン・ブラックの5チームに分かれ、1人50mずつを走って繋いでいきます。スターターを務めるのは土屋太鳳さん。渡辺直美さんと隈研吾さんがステージで見守ります。

 レースはグリーンチーム1走の吉田沙保里さんが、負けず嫌いの一面を出して全力疾走。リレーゾーンでは勢いあまって転んでしまうハプニングもありました。


 吉田さんの頑張りが大きかったか、グリーンチームがレッドチームをわずかに抑えて1着。走った参加者も、コース両側で声援を送った参加者も楽しそうでした。

 まだまだ走り足りない参加者は、思い思いのペースでトラックを周回します。世界一を目指すアスリートたちが走るより、一足お先に会場の雰囲気を楽しんでいました。

 気になる脳波測定ですが、やはりリラックスして走ることで、気持ちの面にも変化が出た様子。足裏に感じる刺激なども、脳にいい影響を与えているようです。

 イベント終了後、取材に応じた桐生選手は、トラックの感触について「新しいな」という感想。もともとトラックの感触について神経を使うタイプではないとのことで、むしろ本番の雰囲気がどうなるのかを想像していたそうです。



 土屋太鳳さんは、実際の競技場のトラックを走って、来年の大会を待ちきれない様子。学生時代に陸上をやっていたこともあり、ワクワクする気持ちを抑えられなかったようです。

 2019年ももうすぐ終わり、いよいよ本大会の年がやってきます。大会に向けて桐生選手は「まず代表の座を勝ち取ること」と目標を掲げていました。

取材協力:アシックスジャパン株式会社

(取材・撮影:咲村珠樹)