ドイツ連邦議会の予算委員会は2020年3月11日(現地時間)、フランスと共同開発を行う次期主力戦車「主力陸上戦闘システム(MGCS)」の研究予算を承認しました。今後2年の期間に、主要なシステム開発に関する研究が進められることになります。
ドイツの主力戦車レオパルト2と、フランスの主力戦車ルクレールの後継として、2030年代半ばの就役を目指して共同開発を行うのが、主力陸上戦闘システム(Main Ground Combat System=MGCS)です。これまでの戦車から技術的な進歩を遂げ、自動制御と人の手による運用の高度な融合を図ります。
この計画は2018年、ベルリン郊外のメセベルク城で行われた独仏防衛閣僚会議で合意されたもの。ドイツとフランスが等分の出資比率で、次期主力戦車の研究開発を行います。
ドイツのレオパルト2は1979年から配備が始まっており、2030年代半ばには60年近くが経過することになります。1980年代後半から近代化改修を重ね、第一線の能力を維持していきましたが、さすがに60年前の設計では改良にも限界が予想されます。
一方、フランスの主力戦車であるルクレールは1990年から配備されたため、レオパルト2に比べれば基本設計の面で新しさはありますが、それでも2030年代には40年以上が経過することになります。この間に情報通信システムは飛躍的な進化を遂げており、将来を見据えて次世代の研究開発を始める必要がありました。
MGCSが目指すのは、無人偵察機に代表される無人プラットフォームと、変化する戦況に応じ柔軟に対応できる有人プラットフォームとの融合。いわゆるマルチプラットフォームのコンセプトです。
今回ドイツ連邦議会で承認された予算では、MGCSに必要な技術に関して、2年間の研究開発が進められます。ドイツとフランス両国の技術者が共同で行う研究の結果、まずは技術実証車の完成を目指すことになります。
ドイツとフランスはEUやNATOの枠組みにおいて、協調してイニシアチブをとっていくことを確認しています。次世代戦闘機であるFCAS(Future Combat Air System)同様、戦車の開発でも両国の密接な関係が強調されることになります。
<出典・引用>
ドイツ国防省 ニュースリリース
Image:ドイツ国防省/フランス陸軍
(咲村珠樹)