ロシア国防省は2020年4月13日(現地時間)、西部軍管区に属する5つの部隊に主力戦車T-90の最新バージョン、T-90M“プラリーフ(「ブレイクスルー」の意)”の配備が始まったと発表しました。エンジン出力が強化されたほか、様々な近代化改修が施されています。

 T-90は、先進的すぎて不具合が多発したT-80の反省から、T-72の信頼性をベースに強力な主砲、最新の技術を付加する形で開発された戦車。ガスタービンエンジンを採用したT-80に対し、燃費や整備性で有利なディーゼルエンジンを採用した、手堅い設計となっています。


 最新バージョンのT-90Mは、エンジン出力を強化し機動性が向上したほか、主砲に“アルマータ”T-14と同じ125mm滑腔砲2A82-1Mを採用。これに合わせて照準システムもマルチチャンネル化され、12.7mm対空機銃は遠隔操作式になりました。

 また、これらをコントロールするカリーナ(Kalina)火器管制装置も刷新されました。データリンクシステムに対応し、他の戦車と情報を共有したネットワーク戦闘も可能になっています。もちろん、ロシア版GPSであるGLONASSにも対応。

 防御面では、新しい爆発反応装甲レリークト(Relikt)を採用。さらに“アルマータ”T-14で採用された自己防御システム(APS)のアフガニト(Afghanit)が装備されており、飛来する対戦車ミサイルやAPFSDS砲弾を物理的手段で迎撃・破壊することができます。エンジンのある車体後方は、RPGなどのロケット弾を食い止めるケージ装甲が追加されました。



 西部軍管区戦車連隊司令官のセルゲイ・キゼル中将によると、すでにシミュレータ訓練で兵士らはT-90Mの運用に習熟しており、必要な訓練は完了しているとのことです。

<出典・引用>
ロシア国防省 ニュースリリース
Image:ロシア国防省

(咲村珠樹)