ミニ四駆って知っていますか?ミニ四駆というのは、自動車のような四輪駆動の形状をしてモーターと電池を動力源として実際に走らせることのできる模型。1982年に静岡県の模型メーカーTAMIYA(タミヤ)が発売しました。

 価格が数百円でなおかつ子供でも簡単に作れる模型という特性が小学生男子を中心に支持され、また小学館発行の月刊コロコロコミックに連載されたミニ四駆を題材にした漫画「ダッシュ!四駆郎(連載期間:1987年~1992年)」、「爆走兄弟レッツ&ゴー!!(連載期間:1994年~1999年)」がいずれもアニメ化されたことで、全国的なミニ四駆ブームを巻き起こしています。ちなみに前者の世代の人たちは「ミニ四駆第1世代」、後者は「第2世代」とも呼ばれています。

 そんなミニ四駆は、ファンによる愛の形が非常に強いロングセラーブランドであることも大きな特徴。そして愛が深すぎてついに自分自身がミニ四駆になったファンが存在しています。

■ 大人になってミニ四駆愛が再燃

「#結婚相手に求めるもの一覧 ミニ四駆のコスプレを受けてくれる人(切実)」

 こうツイッターにつぶやいたのは、「コスプレーサー Gマン」さん(以下、Gマンさん)。愛の深さを投稿当日にトレンドだったハッシュタグつきで熱く語りました。

 Gマンさんが投稿したツイートには、「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」の近藤ゲンが使用する「ブロッケンG(ギガント)」と、主人公である星馬(せいば)兄弟の弟である星馬豪が使用した「サイクロンマグナム」になりきった、“コスプレ”写真が添えられています。ミニ四駆を身にまとうだと……!?斬新すぎます。

 投稿者のGマンさんですが、ミニ四駆に出会ったのは小学生のとき。そのフォルムに一目惚れしたことで、元来の乗り物嫌いが克服できたというエピソードを持つ「第2世代」ミニ四駆レーサー。

 一時期はミニ四駆から離れており、数年前ご友人から大会があるから参加してみないかと誘われたのがきっかけで再び始めたそうです。

 復帰当初は子どもの頃から大好きだった「ブロッケンG」でレースに参加していただけだったというGマンさん。

■ はじめるきっかけは上司のアドバイスを勘違い?

 それがコスプレをすることになったのは2018年。ちょうどこの年はタミヤ主催のミニ四駆公式大会「ジャパンカップ」が30周年だったということで、愛車のブロッケンで何かできないかと思案していたところ、「ミニ四駆のコスプレをしたらどう?」という職場の上司の何気ない発言にピンときたとのこと。ミニ四駆のコスプレは確かに面白いかもしれない!と。

 あとはどうカタチにするか……となったとき、東京調布市にあるミニ四駆ステーション「Card&Cafe Dorim(ドリム)」を思い出します。そこで店主(以下、ドリムの店主)に制作協力を相談すると「うん、できると思うよ」という反応。

 以降トントン拍子に話は進んだといいますが、ドリムの店主とのやりとりのなかで、ふと上司の言葉「ミニ四駆のコスプレをしたらどう?」思い返すことがあり、そこで気がついたそうです。

 「ミニ四駆そのものコスプレをしたらどう?」ではなく、「ミニ四駆作品のキャラクターのコスプレをしたらどう?」という意味だったんじゃないかと……。

 Gマンさんはこの時を振り返り「嫌な汗が流れたのをよく覚えてます」と語っています。

 そんな調子で進められた衣装(?)制作。完成したブロッケンGの衣装(?)を毎年秋に開催される、タミヤ主催のホビーイベント「タミヤフェア」で初披露目すると大好評だったといいます。


 「正直、受け入れられるか不安でした」というGマンさんもこれで自信を持ち、翌2019年には「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」で登場したミニ四駆シリーズ「フルカウルミニ四駆」生誕25周年だったということで、“レツゴー”を見て育った第2世代の中で一番人気だったサイクロンマグナムの衣装(?)を制作し、これもお披露目するに至りました。

 そんな“等身大”のブロッケンGとサイクロンマグナムですが、どうやって作ったのか気になるところです。制作を担当したドリムの店主の話では、耐熱材である発泡ポリスチレンのスタイロフォームを用いて作ったそうです。




 そしてタイヤのホイール部分は予め画用紙で型紙をとった後に塗装を施したそうなのですが、本物そっくりのこの形状は見事としかいいようがありません。


 この精巧さには「最高です」「こんな面白い人を放っておくはずがない」「最高すぎる」と大喝采。どうやら婚活でも見事なロケットスタートを切ったみたいです。

 そんなGマンさん、今回大きな反響を受けたことによりどうしても伝えたいことがありました。

 「今まではミニ四駆界隈の内側で活動していたのですが、これを機に界隈外にもミニ四駆に興味を持っていただきたいです。自分もミニ四駆活動を再開して、また新たな魅力を発見して、ミニ四駆以外でも語り合える友人ができました。自分にとってミニ四駆は単なるおもちゃじゃなくて、色んなものをもたらしてくれたコミュニケーションツールなんです。今もミニ四駆が頑張っていることを知ってもらって、また触れるキッカケ作りになれたら」

 ブランドがロングセラーになるか否かで難題のひとつに挙がるのが「いかにファンを世代交代させること」なのですが、ミニ四駆に関してはGマンさんのように大人になって再燃する人も多い印象。一度離れたとしても、いつでも戻れる。これがミニ四駆ならではの魅力の一つかもしれません。

 ちなみにGマンさんは、横浜にあるミニ四駆スペース「FORCE LABO(フォースラボ)」公式YouTubeチャンネルにてもゲストとして“ホエイル”という特殊な改造手法を紹介した動画についても解説しています。よろしければぜひご覧ください。

<記事化協力>
コスプレーサーGマンさん(@hatarakita14)

(向山純平)