ロシア国防省は2020年10月26日(現地時間)、測位衛星GLONASSの第3世代シリーズ、GLONASS-Kの3号機を10月25日に打ち上げ、予定の軌道に投入したと発表しました。GLONASS-Kは従来より本体がコンパクトになり、測位精度は2倍の数十cm単位、寿命も10年と向上しています。

 ロシアの測位衛星GLONASSは、1982年から打ち上げが始まったもので、アメリカのGPS、ヨーロッパのGalileoと同じく、軍と民間向けに衛星ナビゲーションシステムと、COSPAS-SARSAT国際捜索救助システムなどを提供しています。現在は第2世代のGLONASS-Mが運用中です。

 GLONASS-Kは第3世代にあたる衛星で、初めて非与圧構造のシステムを採用しました。与圧に必要な機器がなくなったため、衛星の重量はGLONASS-Mの約1400kgに比べ、935kgと大幅に軽量化を達成。また、運用寿命も7年から10年に向上しました。

 測位用の信号は従来のものに加え、アメリカのGPSやヨーロッパのGalileoと互換性のあるCDMA方式が採用されており、測位精度が従来の2倍に向上したほか、GPSやGalileoとのマルチシステム受信機が開発可能になりました。GLONASS-Kの1号機は2011年2月に打ち上げられ、2号機は2014年12月に打ち上げられています。

 GLONASS-Kの3号機を載せたソユーズ2.1bロケットは、ロシア北西部アルハンゲリスク州にあるプレセツク宇宙基地の発射台に据え付けられました。


 打ち上げはモスクワ時間の10月25日22時8分。ソユーズ2.1bロケットは夜の闇をついて宇宙を目指します。

 打ち上げから約2分後、衛星は無事にロケットから分離され、打ち上げは成功。ロシア航空宇宙軍のゲルマン・チトフ宇宙センターの追跡管制で、予定通りの軌道に投入されたことが確認されました。

 その後、衛星は起動に成功し、現在のところ問題なく機能していることが確認されました。今後はすでに軌道を周回している1号機、2号機と合わせ、GLONASS-Kの性能試験を重ねていくことになっています。

<出典・引用>
ロシア国防省 ニュースリリース
Image:ロシア国防省

(咲村珠樹)