アメリカ空軍特殊作戦コマンドは2020年11月20日(現地時間)、現在フロリダ州ハールバートフィールドにあるAC-130Jガンシップ訓練部隊の移転先を、ニューメキシコ州のカートランド空軍基地に決定したと発表しました。これを機に、AC-130Jの訓練課程は空軍教育訓練コマンドのもとに統合されることになります。
AC-130Jゴーストライダーは、C-130輸送機に105mmりゅう弾砲や30mm砲を搭載した「ガンシップ」と呼ばれる、近接航空支援用攻撃機の最新型。老朽化した前任機、AC-130U/Wの後継として2015年から導入が始まっています。
これまでAC-130Jの訓練が行われていたフロリダ州のハールバートフィールドは、空軍特殊作戦コマンドの第1特殊作戦群が拠点を置く基地。つまり、AC-130U/Wを運用していたクルーが移動せず、機種転換訓練を行うには最適な場所です。
しかし2017年に初度作戦能力を獲得したAC-130Jは、2021年にも予定された調達分が出そろい、世代交代が完了します。そうなると訓練課程も、すでにAC-130の運用経験があるクルーの機種転換から、新規にAC-130の運用を学ぶクルーを前提としたものに手直しする必要が出てきました。
実任務と並行して訓練ができるハールバートフィールドですが、フロリダ州はハリケーンの影響を受けやすく、夏から秋にかけてのシーズンでは、たびたび訓練を中断せざるをえません。このため、年間を通して気候が安定し、計画的に訓練カリキュラムを進められる適地を選ぶことになったのです。
新たな訓練基地として選定されたカートランド空軍基地は、ニューメキシコ州アルバカーキにあり、HC-130JコンバットキングIIとMC-130JコマンドーIIを運用する第58特殊作戦航空団や、空軍特殊作戦コマンドの航空機乗員を養成する第150特殊作戦航空団などが所在する基地。また年間を通して気候が安定し、すぐ南にはホワイトサンズ・ミサイル実験場もあるため、搭載する兵装の実射訓練にも適した場所です。
カートランド空軍基地への移転を機に、AC-130Jの乗員訓練課程は空軍教育訓練コマンドのもとに入り、初期教育から一貫した訓練が可能になります。カートランドへは訓練用に7機のAC-130Jが移転する予定で、2022年夏にも移転作業が始まる見込みです。
<出典・引用>
アメリカ空軍特殊作戦コマンド ニュースリリース
Image:USAF
(咲村珠樹)