ヴァージン・グループの民間宇宙旅行会社、ヴァージン・ギャラクティックは2020年12月2日(現地時間)、スポーツブランドのアンダーアーマーとコラボしたパイロット用宇宙服を公開しました。2019年に公開された旅客用宇宙服と同じく、スタイリッシュなデザインに仕上がっています。

 リチャード・ブランソン氏が率いるヴァージン・グループの宇宙関連企業のうち、宇宙旅行ビジネスを手掛けるのがヴァージン・ギャラクティック。アメリカのニューメキシコ州に宇宙空港「スペースポート・アメリカ」を作り、そこから小型の宇宙船で弾道飛行を実施し、宇宙飛行ツアーを催行します。




 すでに宇宙旅行をする旅客用宇宙服は、2019年10月に公開済み。スポーツブランドのアンダーアーマーがデザインし、宇宙の無重量状態でも快適に過ごせるような、機能的かつスタイリッシュなデザインです。

 2020年7月には、ツアーで使用される宇宙船スペースシップ・ツーの内装デザインも公開されました。加速・減速のGにも対応するシートと、宇宙に到達した際には無重量状態を楽しめるよう、地球を見られる窓や、浮遊する自分が見られるミラーもあります。



 今回公開されたパイロット用宇宙服は、旅客用と同じくアンダーアーマーとのコラボで作られたもの。ヴァージン・ギャラクティックの宇宙船は与圧されており、長期間の宇宙滞在をしない弾道飛行なので、通常のパイロット用フライトスーツと同じような作りとなっています。

 とはいえ、飛行中に無重量状態になるため、周囲に引っかからないようシンプルなスタイル。袖や脚部分に付けられたポケットも、外に膨らまないようになっています。


 左胸に付けられたウイングマークのエンブレムは、これまでになかったような美しいデザイン。中央には「Virgin」のロゴも入っています。

 パイロットブーツはサイドファスナー式。無重量状態でも問題なく動けるよう、柔軟な素材が使われています。

 開発を担当した、アンダーアーマーのランドール・ハワード氏は「私たちの目標は、宇宙船のパイロットがほかのアスリートと同じように、気を散らすことなくパフォーマンスを最大限発揮できるフライトスーツを作ることでした。その過程は、とても魅力的なものでした」とデザインの意図を語っています。

 ヴァージン・ギャラクティックのチーフパイロット、デイブ・マッケイ(愛称:MAC)氏は「我々ヴァージン・ギャラクティックのパイロットは、このフライトスーツを着ることができ、本当に名誉なことだと思っています。よく考えられたデザインは、機能的で着心地がいいだけでなく、各パイロットに合わせてオーダーメイドされています。スーツに袖を通すと、パイロットとしての使命感に包まれます。今月に予定されている宇宙飛行や、将来何度も経験するフライトが楽しみで仕方ありません」と、このフライトスーツの感想を述べています。


 ヴァージン・ギャラクティックでは、12月11日にも再び宇宙への試験飛行を予定しており、改良された垂直尾翼のテストをするほか、NASAの実験装置も搭載予定。2機目の宇宙船も建造中で、商用飛行への準備を着々と進めています。

<出典・引用>
ヴァージン・ギャラクティック プレスリリース
Image:Virgin Garactic

(咲村珠樹)