おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

創意工夫はモノヅクリの醍醐味 100均アイテムとコンビニ印刷機で「オニヤンマ」を再現

 登山やハイキングなどアウトドア趣味の人の間で人気となっている「おにやんま君」。その名の通り、昆虫の「オニヤンマ」の形状をした実物サイズの商品です。

 オニヤンマは、餌として蚊やアブなどの小型の虫を捕食します。そんな特徴もあってか「虫よけアイテム」として「おにやんま君」の人気が沸騰。特に「アウトドアシーズン」の夏は、販売制限のアナウンスがかかるほど人気となっているのです。

  •  「『おにやんま君』が転売屋の餌食になって買えないので、カッとなって自作しました。透明羽根が上手くできたので、遠目には本物ぽくなって満足です」

     こう語るのは、登山やサイクリングを趣味とするTwitterユーザーのTakeさん。夏シーズンは、「虫よけスプレーでは汗で流れてしまい、蚊取り線香は火を使うので管理が大変なんです」ということで、おにやんま君の購入を試みましたが、「品薄状態」のために叶わず。

     そこで閃いたのが「そうだ、売ってないなら自分で作ればいいじゃないか」。

     結果として、よりリアルなオニヤンマを作りあげ、Twitterで公開したところ、1万以上ものイイネがよせられる大反響となっています。ちなみにこの反響には「ここまでの反響になるとは正直戸惑っています」とTakeさんは驚いていました。

    ■ インドア趣味の技術をフル発揮

     Takeさんは会社勤めの傍ら、アウトドア趣味のほか、絵や漫画、模型などのインドア趣味の創作活動もしています。モノヅクリは得意な方。早速材料を100円ショップで買い集めて、制作にとりかかりました。

     オニヤンマの胴体と頭部は、アルミの針金を芯にして、その上から造形用粘土で型取り、目などの部分は現物に合わせて、塗装を施し仕上げていきました。

    アルミ針金を芯にして、造形用粘土で型取りをした胴体や頭部部分。

     作る上では、これまでに自身が山道で撮影したオニヤンマの実物写真や、昨今昆虫業界を震撼させているTV番組「昆虫すごいぜ!」(NHK・Eテレ)公式HPの「オニヤンマ回」のページを参考にしたといい、おかげで「さっき捕獲してきましたよ」と言っても納得できそうなほどリアルに仕上がっています。

    自身が山道で遭遇した際に撮影した写真や、人気番組のサイトを参考に胴体や頭部を再現。

    ■ ダメ元のつもりで挑んだ羽作り

     次に羽部分の制作にとりかかりました。仕上がったものは、Takeさんご本人が言うように、「遠目には本物ぽくなって」見えます。コンビニに設置されているレーザプリンタを活用して再現したそうで、その細かい手順をおしげもなく自身のTwitterで公開しています。

    透明羽根は案外簡単にできるので作り方書いておきます。
     1 羽根柄をコンビニなどでレーザープリンタにて印刷
     2 切り出して梱包用透明シールに貼り付け
     3 しばらく水につけておくと紙が溶けて、印刷柄だけ残ります
     4 歯ブラシなどで細かい紙片をこすって除去すると奇麗に完成

     あっさり手順を公開していますが、実はこの手順にはTakeさんなりの創意工夫がつまっています。

     「元々『透明シールを印刷する方法』で検索していたんですが、そこで『梱包用テープにレーザープリンタ印刷したものを貼って、それを水で紙部分を溶かす』という食器用ラベルの作り方を発見したんです。ただ、実は我が家にはレーザプリンタがないんです。なのでどうしようか……と考えていたんですが、そういえばコンビニなら、『レーザプリント印刷』が可能ということに気づきまして。半ばダメ元で試してみたんです」

    「羽根の材料」は、用紙に描いたラフ画に、100均ショップにあるラミネートフィルム。

     そこで近くのコンビニで、事前にデザインしていた用紙をレーザープリント印刷。プリントしたものを持ち帰って今度は、梱包用テープに貼り付け。さらに水に浸してから歯ブラシで擦ってみました。ダメ元なので“すんなりいかなくてもしょうがない”と思っていたところ……、まさかのすんなり「透明羽根」が完成。

    コンビニのコピー機で印刷した羽根に100均ショップで販売されている梱包用テープを貼り付け。

    さらに歯ブラシで紙のみを落としたところ、見事に「透明」羽根に。

     出来上がった羽は本物と見紛うかのようなリアリティさ。それを手作り「オニヤンマ」にとりつけると、今にも飛び立ちそうなクオリティーに仕上がりました。これには、夏の登山やサイクリング時に、Takeさんを長年悩ませてきたアブやブヨといった「天敵」たちも、眼前に現る「天敵」により、おいそれと近寄ってこないのでは。

    「おにやんま君」よりもさらにオリジナルに近づいた投稿者作の「オニヤンマ君」。

    ■ 「色々な応用をして楽しんでもらえば」

     今回Takeさんが作りあげたオニヤンマは材料を100円ショップで揃えることができ、使う機材もコンビニのプリンタ。お子さんに「ものつくりの楽しさ」を教えたい親御さんにとっては、最高の教材になるのではないでしょうか。

     Takeさんも「今回は『羽根の作り方』として紹介しましたが、容易に入手できる材料で、簡単に出来る造形の表現方法として色々な応用をして楽しんでもらえば」と、最後に語っています。

    <記事化協力>
    Takeさん(@Take0627)

    (向山純平)

    あわせて読みたい関連記事
  • 1人暮らしの救世主?Xユーザー考案「手作り虫捕獲器」が助かる
    インターネット, おもしろ

    1人暮らしの救世主?Xユーザー考案「手作り虫捕獲器」が助かる

  • 隣家からの怒号を音痴で撃退!母と娘が歌声響かせた、1週間の脱力戦記
    インターネット, おもしろ

    隣家からの怒号を音痴で撃退!母と娘が歌声響かせた、1週間の脱力戦記

  • 整列した脱け殻眺めながらほっとひと息…8才息子のセミ愛が炸裂する家
    インターネット, おもしろ

    整列した脱け殻眺めながらほっとひと息…8才息子のセミ愛が炸裂する家

  • ゲーム感覚の「ログインボーナス式ダイエット」が話題 痩せて貯金もできる!?
    インターネット, おもしろ

    ゲーム感覚の「ログインボーナス式ダイエット」が話題 痩せて貯金もできる!?

  • スマホも「おやすみなさい」 高校生作「ベッド型ワイヤレス充電器」がかわいすぎる
    インターネット, おもしろ

    スマホも「おやすみなさい」 高校生作「ベッド型ワイヤレス充電器」がかわいすぎる

  • 実は“湯むき”できる!? キウイを綺麗においしく食べる最適解見つかる
    グルメ, 作ってみた

    実は“湯むき”できる!? キウイを綺麗においしく食べる最適解見つかる

  • ライブ・フェス参戦者必見 かわいくて簡単なタオルの結び方が話題
    インターネット, おもしろ

    ライブ・フェス参戦者必見 かわいくて簡単なタオルの結び方が話題

  • 悪霊退散!「ぬ~べ~」の鬼の手をダンボールで制作 可動式の驚きファンアート
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    悪霊退散!「ぬ~べ~」の鬼の手をダンボールで制作 可動式の驚きファンアート

  • タイムカードで生活にメリハリ! 漫画家の自己管理術が話題
    インターネット, おもしろ

    タイムカードで生活にメリハリ! 漫画家の自己管理術が話題

  • 懐かしの「10円ゲーム」を自作!音からギミックから本物そっくりのクオリティ
    インターネット, おもしろ

    懐かしの「10円ゲーム」を自作!音からギミックから本物そっくりのクオリティ

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能にする試験導入を発表
    インターネット, サービス・テクノロジー

    YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能に…

  • 南インド伝統のチキンカレー「ケララチキンカレー」
    商品・物販, 経済

    松のやが南インド伝統の味を再現 「ケララチキンカレー」新発売

  • 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)
    商品・物販, 経済

    ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」…

  • キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化
    商品・物販, 経済

    キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

  • 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言
    社会, 経済

    時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

  • ゴロっとチキンのカレーナポ
    商品・物販, 経済

    パンチョ初の人気投票1位「カレーナポ」が進化 期間限定で復刻登場

  • トピックス

    1. 藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      プロの声楽家として活動する傍ら、1時間1000円から自分の時間を「レンタル」している男性。キャリア豊…
    2. ドムドムが“カニまるごと”の衝撃バーガーを再販 新作コチュジャン味を食べてみた

      ドムドムが“カニまるごと”の衝撃バーガーを再販 新作コチュジャン味を食べてみた

      ドムドムハンバーガーは10月14日に、カニを丸ごと挟んだ「丸ごと!!カニバーガー」を販売開始しました…
    3. 丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が10月6日から、人気ラーメン漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボした「らーめん缶」を、東…

    編集部おすすめ

    1. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    2. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    3. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    4. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    5. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト