ユナイテッド航空は2021年6月3日(現地時間)、アメリカの航空機メーカー、ブーム・スーパーソニック製の超音速旅客機「オーバーチュア(Overture)」を発注したと発表しました。
発注数は確定が15機、オプション35機の計50機で、サステナブルな燃料を使用して二酸化炭素排出量を差し引きゼロにし、2029年就航予定としています。
超音速旅客機「オーバーチュア(Overture)」は、コロラド州デンバーに本拠を置く航空機メーカー、ブーム・スーパーソニックが開発中の超音速旅客機(SST)。65~88席で、高度6万フィート(約1万8300m)をマッハ1.7で飛行します。
燃料は100%サステナブルな航空燃料(SAF)を使用し、排出される二酸化炭素は差し引きゼロとなる“ネットゼロカーボン”を達成する予定。機内もコンコルドとは違い、ゆったりとした座席間隔のものになります。
気になる超音速飛行による時間短縮効果ですが、ニューヨーク(ニューアーク空港)~ロンドン(ヒースロー空港)の場合、6時間半かかっているのを3時間半に短縮します。
また、東京(成田空港)~サンフランシスコの場合、10時間15分かかっているところ、6時間という飛行時間(ソニックブーム対策のため超音速飛行はそれぞれ大西洋、太平洋上のみ)を予定しているとのこと。
発注に際し、ユナイテッド航空のスコット・カービーCEOは「ユナイテッド航空は、より革新的で持続可能な航空会社を構築するための道のりを歩んでおり、今日における技術の進歩によって、そこに超音速機を含むことはより現実的なものになっています。ブームの民間航空に関するビジョンは業界で最も堅固なネットワークと組み合わさり、ビジネスやレジャーの搭乗客に対し、星のように素敵な飛行経験をもたらすでしょう」とのコメントを発表しました。
ブームの創業者であるブレイク・ショールCEOは「世界で初めてとなるネットゼロカーボン超音速旅客機の受注は、私たちの“もっとアクセスしやすい世界を作る”というミッションにとって大きな飛躍となります。従来より倍のスピードで、ユナイテッド航空の利用客はより深く生産的なビジネス関係から遠く離れた場所へのよりリラックスしたバケーションに至るまで、すべての利点を体験できるでしょう」との談話を発表しています。
現在、ブームでは技術開発用の試作機XB-1を2020年10月7日に完成させ、試験飛行へ向けての準備を進めています。また、日本航空も「オーバーチュア(Overture)」を20機仮発注しており、コンコルド退役以来となる超音速旅客機就航復活へ向けた動きが活発化しています。
オーバーチュアは、XB-1の試験飛行で得られた知見をもとに設計が煮詰められ、2025年に1号機の完成、2026年の初飛行を目指して開発が進められています。実際の就航は2029年からを見込んでいます。
<出典・引用>
ユナイテッド航空 プレスリリース
ブーム・スーパーソニック ニュースリリース
Image:Boom Supersonic
(咲村珠樹)