エアバスは2019年12月17日(現地時間)、エアバスA321neoファミリーの最長距離モデルA321XLRが、6月17日の開発発表から6か月間で、450機以上の受注を達成したと発表しました。A321XLR初号機の納入は2023年からを予定しています。

 エアバスの小型ジェット旅客機A320neoファミリーのうち、胴体の長いA321neoで最も長距離を飛べるモデルとして発表されたのが、A321XLR(eXtra Long Range)です。胴体後部に12.9キロリットルの燃料タンクを増設し、オプションの追加燃料タンクを装備すると、最大航続距離は8700km。東京からインド全域、オーストラリアのシドニー、モスクワ、アラスカまでをカバーします。

 主翼先端に発生する抵抗(誘導抗力)を低減するシャークレットを装備することで、従来機よりも1席あたりの燃料消費を30%抑える経済性も備えます。エアバスの旅客機ラインナップでは、A320ファミリーとワイドボディ機のA330neoやA350XWBとの間を埋める存在です。

 わずか半年で450機以上を受注したA321XLRですが、大口の契約を見ると、6月17日の発表と同時に航空機リース会社のエアリース・コーポレーションが27機を発注したのを皮切りに、大手航空会社やLCCからの発注が相次いでいます。6月19日には、オーストラリアのカンタス航空がA320neoからの発注振替を含む36機、同じくアメリカのアメリカン航空が50機のA321XLRを発注しました。


 8月30日にはマレーシアに拠点を置くLCCのエアアジアXから30機を受注。ゼネラル・エレクトリックの航空機リース会社、GEキャピタル・アビエーション・サービス(GECAS)は、11月19日付で20機のA321XLRを発注しています。

 12月に入ってからは、4日にアメリカのユナイテッド航空が50機発注。エアバスによると、これまでに22の航空会社と航空機リース会社2社(エアリース・コーポレーションとGEキャピタル・アビエーション・サービス)からの発注があるとのことです。

 ちょうど航空会社において、小型ジェット旅客機の世代交代を検討する時期に入っていたこと、そして中距離国際線までカバーできる航続距離と優れた燃費が、大きなセールスポイントになったのでしょう。8700kmといえば、従来ではエアバスA300やボーイング767が就航していた距離ですが、より柔軟な運用ができる大きさ(モノクラス最大244席)であることも魅力のようです。

 エアバスでは詳細な設計と生産計画を詰めたのち、2021年からA321XLRの生産を開始する予定。2023年に航空会社での就航を目指すとしています。

<出典・引用>
エアバス ニュースリリース
Image:Airbus

(咲村珠樹)