エアバスは2020年2月11日(現地時間)、この日開幕したシンガポール・エアショウで、次世代の旅客機のありようを検討するためのモデル機「MAVERIC(マヴェリック)」を公開しました。翼と胴体が一体化した、エイのような姿の飛行機です。

 エアバスが公開したMAVERICは「革新的制御を確立する検証・実験用モデル機(Model Aircraft for Validation and Experimentation of Robust Innovative Controls)」の頭文字を並べた略称。具体的には、次世代の旅客機はどのようであるべきか、そしてそれを実現するための技術的課題は何かを検討するために作られた、実際に飛行する縮小モデルです。

 その姿は、胴体が主翼と一体化した「ブレンデッド・ウイング・ボディ」と呼ばれる形態で、イトマキエイ(マンタ)にも似ています。エンジンは機体後部に設置された2枚の垂直尾翼の基部に1機ずつ、という双発機となっています。

 大きさは全長2m、全幅3.2m。胴体と主翼を合わせた投影面積は約2.25平方mとなっています。胴体部分が主翼と一体化して揚力を生み出すため、既存の単通路旅客機(A320など)と比較した場合の燃料消費は、最大で20%向上する計算だといいます。

 また、従来の円筒形を基本とした胴体を持つ旅客機と比較すると、客室部の横幅が広くなり、より開放感ある空間が広がることに。大きな部屋といった雰囲気です。


 客室の窓はタッチスクリーン式ディスプレイと一体化し、機内エンターテインメントや、窓から見える風景のガイドなどが投影されるようになる、という構想のようです。

 このMAVERICプロジェクトが始まったのは2017年のこと。検証用のモデル機が完成し、フランスで初飛行を実施したのは2019年6月でした。

 MAVERICプロジェクトの副リーダーを務めるアドリエン・ベラール氏は「エアバスにおいては、航空機の環境性能をもっと改善してほしいという、社会から期待されているということは承知しています。MAVERICのブレンデッド・ウイング・ボディというデザインは、そういった点でゲームチェンジャーになりうる存在であり、限界まで技術を押し上げていきたいと考えています」とコメントしています。

 モデル機MAVERICを使った飛行試験は、2020年の第二四半期いっぱい(6月末)まで続けられる予定。一連の試験で得られたデータをもとに、さらに検討を重ねて技術を熟成していくことになります。

<出典・引用>
エアバス ニュースリリース
Image:Airbus