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ICOMAの「タタメルバイク」は畳めるバイク 収納性ヨシの近未来型電動バイク

update:

 プロダクトデザイナーの生駒タカミツ(崇光)さん(以下、生駒さん)が、Twitterに投稿した2枚のバイク写真が大きな反響を集めています。

  •  生駒さんが「新機体、初お披露目です!!私、生駒が自分でデザインし起業して作った駐車場要らずの“タタメルバイク”です。試乗ではバイク乗りの方々からも好評でした!!市販化目指して開発してますのでぜひお見知りおきを」と紹介した写真。

     1枚目には車両全体の外観が写っています。全体的にコンパクトで、かつ四角い形状の風貌には、往年の名車「ホンダ モトコンポ」を連想する方も多いのでは。

    生駒さんが投稿した写真に写っていたのは、四角い形状のバイク。

     このバイクは生駒さんが開発した電動バイクとのことですが、2枚目の画像では、何と車両が折り畳まれた姿を披露。

     「タタメル」は「畳める」を意味していたのか!ただでさえコンパクトな車両がさらにコンパクトになっています。すき間なく収納された前後輪とハンドルに、四角い見た目もあって、その姿はまるでスーツケース。

    2枚目にはそれが折りたたまれた状態。まるでスーツケース。

     どことなくクラシカルで、それでいて近未来的ないで立ちには、国内外のTwitterユーザーが注目。1万を超えるいいねが寄せられています。

     筆者もまた、生駒さんの「タタメルバイク」に目を奪われたひとり。開発経緯などの詳細を聞くべく、生駒さんに取材を申し込むことに。

    ■ 「変形の美学」から着想した「箱型電動バイク」

     現在は株式会社ICOMAのCEO兼プロダクトデザイナーの生駒さん。

     もともとは、玩具メーカー「タカラトミー」にて、玩具試作やトランスフォーマーの海外事業を担当。後に、スタートアップ企業数社で製品のプロダクトデザインを担当し、家庭用ペット型ロボット「LOVOT」を展開しているGROOVE X在籍時には、LOVOTの開発にも関わるなど、トイデザインや実製品のロボットデザインを専門としています。

    タカラトミーでトランスフォーマーを担当したのち、スタートアップ企業数社に移った生駒さん。「LOVOT」の開発にも携わっておられます。

     そんな開発のプロである生駒さんが、今回Twitterで紹介した「タタメルバイク」は、個人活動として取り組んでいたプロジェクト。

     「開発の数年前に、海外から電動バイクが輸入されてきたんですが、それを見たときに、『折り畳みに意味がある箱型の電動バイクを作ってみたい!』という思いが芽生え、それが活動のはじまりでした」

     また自身が「変形玩具デザイナー」の一面を持つことから、「『変形の美学』というものが自分の中にありまして、それを具現化したいという考えもありましたね」とも語っています。

    ■ 「変形に実用性を持たせる」

     ちなみに生駒さん、以前に3DCADを用いて、12分の1スケールのタタメルバイクのミニチュアを製作しています。その際は、「トランクケースサイズから変形する電動バイク」「デスクの下にパーキング」というコンセプトや、その個性的なフォルムのデザイン画像がSNS上で話題となりました。

    以前図面が話題となった生駒さん。12分の1スケールのミニチュアも製作されています。

    独創的なデザインはSNSでも話題に。

     しかしながら、玩具と違い、実車になると「実用性」も伴わないといけません。モックアップしていく際には、様々な試行錯誤が行われました。

    箱型だと70センチほどの空間容積になるタタメルバイク。これなら収納に苦労しません。

     「もっとも苦労したのが、『シンプルな機構で変形し、かつ形や機能性にも優れたデザインにすること』でした。『変形する』ということが、実用性に繋がってくることを考えて、箱型だと67センチ×67センチ×26センチ程度の空間容積になるスペックにしています。これにより、玄関先や机の下に駐車できるような乗り物としました。駐車スペースの確保が難しい都心部でも活用できることを想定しています」

    デジタルサイネージなど、機能性も高めていきたいと語る生駒さん。

     また、生駒さんはタタメルバイクにインテリア要素も付与。デザインに関しては、今回Twitterで紹介した木目調以外にも様々な配色も用意。

     さらにソーラーパネルやデジタルサイネージといった、機能的要素の実装も今後考えているそうです。過去の投稿では、液晶パネルを搭載したタイプの車両も紹介しています。

    ■ 夢は市販化!新たな移動手段に!

     タタメルバイクは、先に紹介したとおり「モーターを動力とした電動バイク」。

     一方、定格出力は600Wとのことで、分類としては原付一種に相当します。これは、普通自動車免許を取得すれば使用可能という敷居の低さに加えて、生駒さん自身のある“野望”もあってのものだそう。

    分類としては原付一種相当のタタメルバイク(定格出力:600W)。

     「将来的には、MaaS(Mobility as a Service:移動手段を使ったサービス事業)としても活用していきたいと考えているんです。持ち運びや収納が容易という特徴は、非常時の移動手段やバッテリーとしても活用できる利点があると考えています」

     昨今のコロナ禍により、実はバイクや自転車の需要が世界的に高まっています。同時に、「電動モビリティ」と呼ばれる新たな移動手段も続々と登場。ここ日本でも、電動キックボードなどが自治体とタッグを組みサービスを開始しています。

     そんな時流において、構想から5年の歳月をかけて産声をあげた生駒さんの「タタメルバイク」。ただ現状は、先日ようやくナンバープレート取得が叶ったいわばワンオフマシン。今後量産していくためには、さらなる利便性の向上や軽量化を目指していくとのこと。また、今年(2021年)3月には、「ICOMA Inc.(株式会社ICOMA)」として法人化(起業)も行いました。

     「今後は、来年春の市販化に向けて、バイク部品や板金工場のパートナーさんや、自動車やロボット業界出身のエンジニアと鋭意開発していきます。何とか市販化に漕ぎつけて、『ICOMAのタタメルバイク』で、多くの方に安全で楽しい『バイクライフ』を送ってもらえれば何よりですね」

    <記事化協力>
    生駒タカミツ(崇光)さん(@takamityu)
    ICOMA Inc.

    (向山純平)

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