11月10日はアメリカ海兵隊の創設記念日。海兵隊の各部隊では、この時期に恒例のバースデーイベントを実施しています。主な行事はバースデーケーキを切り分けみんなで食べることと、ランニング大会。どちらも海兵隊の伝統として、長く続いています。

 アメリカ海兵隊は1775年11月10日、フィラデルフィアでの第2回大陸会議によって設置が決定されました。組織のモデルとなったのは、イギリスの海兵隊。1783年、アメリカ独立戦争を終結させたパリ条約で一旦廃止されますが、議会の要請により1798年7月11日に海軍長官のもと、再度組織されました。

キャンプ・レジューンの海兵隊バースデーケーキ(画像:USMC)

 創設記念日のバースデーケーキですが、アメリカ海兵隊によると、その始まりははっきりしていないそうです。最も古い記録では1937年、ワシントンD.C.のマリーン・バラックスで開催されたオープンハウスにおいて、司令官のトーマス・ホルコム少将が、海兵隊員の募集が始まったフィラデルフィアの居酒屋「タン・タバーン」をかたどったケーキに入刀したことが分かっているとのこと。

沖縄キャンプ・ハンセンの海兵隊バースデーケーキ(画像:USMC)

 海兵隊創設記念日の儀式は、第13代海兵隊総司令官のジョン・アーチャー・レジューンが体系化しました。来賓を招き、レジューンのバースデーメッセージと現在の総司令官のメッセージを読み上げ、ケーキカットに移ります。

第2海兵遠征大隊の海兵隊バースデーケーキ(画像:USMC)
バースデーメッセージの読み上げ(画像:USMC)

 ケーキカットは部隊の長がサーベルで行い、最初に切り分けられたケーキ(ファーストバイト)は最年長者に、そして2つめは最年少者が食べることになっています。これは海兵隊の精神が、世代を超えて受け継がれることを示すもの。

ケーキカットする第2海兵遠征大隊司令官のヘンダーソン少将(画像:USMC)
ファーストバイトは最年長者(画像:USMC)
最年長者から最年少者へ(画像:USMC)

 2021年の海兵隊バースデーメッセージで、米海兵隊総司令官のデビッド・ヒルベリー・バーガー大将は、アメリカ同時多発テロ20周年に触れ、これまでの対テロ作戦に従事し、退役した人々への感謝を述べています。

 そして「次世代の海兵隊員は、これまでとは異なる場所で異なる作戦に従事している可能性があります。それでも彼らは、これまで脅威や敵から背を向けてこなかった、長く誇り高い海兵隊員の伝統に加わるのです」と語り、変容する未来の安全保障環境においても、海兵隊は国と市民を守るため、いつでも準備万端の状態にあると決意を示しました。

ケーキを取り分ける沖縄キャンプ・ハンセンの海兵隊員(画像:USMC)

 ケーキカットの儀式と同じく、恒例となっているのがランニング大会。多くは1マイル(約1.6km)の距離を走り、精強さを維持する姿勢を見せるものです。

沖縄キャンプ・ハンセンのバースデーラン(画像:USMC)

 アメリカ海兵隊は、世界の様々なところに展開しています。イギリス海軍の空母クイーン・エリザベスに派遣されているF-35B飛行隊、VMFA-211ではクイーン・エリザベスの飛行甲板で恒例のランニングを実施しました。

VMFA-211はイギリス空母クイーン・エリザベスでバースデーラン(画像:USMC)
イギリス空母クイーン・エリザベスでのバースデーラン(画像:USMC)

 伝統の行事を終え、アメリカ海兵隊は今日も世界のあちこちで任務にあたります。246回目の創設記念日は、アメリカ海兵隊員にとって良い節目となったことでしょう。

<出典・引用>
アメリカ海兵隊 ニュースリリース
画像:USMC

(咲村珠樹)