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アメリカ海兵隊初のF-35C飛行隊が初度作戦能力獲得

 アメリカ海兵隊は2020年12月2日(現地時間)、海兵隊初のF-35C飛行隊VMFA-314が、初度作戦能力(IOC)を獲得したと発表しました。海兵隊では単距離離陸垂直着陸(STOVL)版のF-35Bが、すでに完全作戦能力を獲得していましたが、空母からカタパルト発艦できるF-35Cが初度作戦能力を獲得するのは初めてとなります。

  •  アメリカ海兵隊のF-35は、AV-8BハリアーIIとF/A-18C/Dホーネット、EA-6Bプラウラーの後継として、主に強襲揚陸艦で運用される単距離離陸垂直着陸(STOVL)機のF-35Bと、空母から運用されるF-35Cの2種類が導入されます。F-35計画はA~Cの各型のうち、アメリカ海兵隊向けのF-35Bが2015年、最初に初度作戦能力を獲得しました。

     アメリカ海兵隊へのF-35B導入は順調に進み、老朽化したAV-8Bの置き換えを完了。続いて、同じく老朽化したF/A-18C/D(レガシー)ホーネットと電子戦機EA-6Bプラウラーの後継となる、空母での運用に対応したF-35Cの調達が進んでいます。

     アメリカ海兵隊最初のF-35C飛行隊に選ばれたのは、第1海兵遠征軍の第3海兵航空団に所属するVMFA-314。カリフォルニア州のミラマー海兵隊航空基地に拠点を置き「ブラックナイツ」の愛称で知られています。

     乗り慣れたF/A-18C/Dから、F-35Cへの機種転換が始まったのは2019年9月のこと。パイロット達は同じカリフォルニア州にあるリムーア海軍航空基地に派遣され、海軍のF-35C機種転換飛行隊VFA-125「ラフレイダース」のもとで操縦訓練に励みました。



     2020年1月にはミラマーに戻り、飛行訓練を続けたVMFA-314。3月20日に安全に航空機の運用が可能である、という飛行安全運用認証(Safe-For-Flight Operations Certification=SFFOC)を取得し、今度はより実戦的な訓練に移行していました。

     VMFA-314が空母に乗り組み、海外での作戦に一部参加できる初度作戦能力(IOC)を獲得したことを受け、第3海兵航空団司令官のクリストファー・マホニー少将は「F-35は海兵隊とそのマシーンの行動範囲を拡大し、統合作戦や同盟国との作戦を即座にサポートできる遠征プラットフォームです。F-35を効果的に運用することにより、MAGTF(海兵空地任務部隊)司令官は複合的戦場や空、海において相手を支配するポテンシャルを得られるのです」とコメント。強襲揚陸艦からのF-35Bだけでなく、空母からのF-35Cが加わることで、より幅広いオプションを手にしたことを歓迎しています。

     VMFA-314の副長、ダンカン・フレンチ中佐は「IOC獲得は第3海兵航空団だけでなく、海兵隊全体にとっても重要なマイルストーンです。我々VMFA-314は、海兵隊初のF-35C飛行隊です。F-35Bや過去の飛行機と比較したF-35C独特の能力は、海兵隊に新しい戦力投射のオプションと、空母からの作戦能力をもたらします」と語っています。


     VMFA-314飛行隊長、ブレンダン・ウォルシュ中佐は「この成果は、VMFA-314に配属された海兵隊員、海軍兵、そして民間業者の人々による勤勉な仕事ぶりと献身なくしては達成しえませんでした。IOC獲得でクライマックスを迎えた、ブラックナイツ(VMFA-314)のF-35Cへの機種転換は、新たな飛行機の運用を開拓したという、飛行隊にとっての歴史的遺産を残したといえるでしょう」とのコメントを発表しました。

     F-35Cが部隊派遣可能な初度作戦能力を獲得したことにより、アメリカ海兵隊は従来のF-35Bに加え、空母からもF-35を作戦に投入できることになります。アメリカ空軍のF-35Aとともに、F-35A~Cの各型が揃って作戦や訓練に参加する機会も、そう遠くないのかもしれません。

    <出典・引用>
    アメリカ海兵隊 ニュースリリース
    Image:USMC

    (咲村珠樹)

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