アメリカとイギリス両政府は2021年1月19日(現地時間)、2020年の共同訓練に引き続き、アメリカ海兵隊のF-35Bと海軍の駆逐艦がイギリスの空母クイーン・エリザベス打撃群に参加し、統合部隊となる合意文書に署名したと発表しました。空母クイーン・エリザベスは2021年春、初の実任務としてアジア方面への遠征が計画されています。

 イギリスの空母クイーン・エリザベスは2020年、初めて艦上戦闘機として第617飛行隊のF-35Bを迎え、空母打撃群としての訓練を実施し、初度作戦能力を獲得しました。この際、すでに艦隊での運用が始まっているアメリカ海兵隊のF-35B飛行隊、VMFA-211もアメリカからイギリスに展開し、空母クイーン・エリザベスで訓練を実施しています。

空母クイーン・エリザベス上のVMFA-211CAG機(Image:Crown Copyright)
空母クイーン・エリザベスの飛行甲板に並ぶ英米のF-35B(Image:USMC)

 今回、イギリスのベン・ワレス国防大臣とアメリカのミラー国防長官代行との間で署名された合意文書によると、イギリス海軍のクイーン・エリザベス空母打撃群(第21世界規模空母打撃群)に対し、アメリカ海軍から駆逐艦ザ・サリバンズ(DDG-68)と、アメリカ海兵隊のVMFA-211が参加。この春に予定される初の実任務遠征において、英米統合空母打撃群を形成するとのことです。

空母クイーン・エリザベスから発艦するVMFA-211のF-35B(Image:USMC)

 合意文書への調印を終えたイギリスのワレス国防大臣は「イギリスが21世紀における空母打撃力を保有していることを嬉しく思います。これは過去10年にわたり、アメリカからのあらゆるレベルでの支援あってのことです。今回の遠征は強固な英米関係を示し、安全保障分野における重要なパートナーシップの幅広さ、深さを反映するものです」との談話を発表しています。

英米統合クイーン・エリザベル空母打撃群(Image:Crown Copyright)

 クイーン・エリザベス空母打撃群に参加するアメリカ海軍の駆逐艦ザ・サリバンズは、現在アメリカ大西洋艦隊に所属。2020年9月には空母クイーン・エリザベスと北海で共同訓練を実施しており、同じ艦隊での行動を経験済みです。

アメリカの駆逐艦ザ・サリバンズ(Image:Crown Copyright)
英米統合クイーン・エリザベス空母打撃群(Image:Crown Copyright)

 VMFA-211のF-35Bと駆逐艦ザ・サリバンズは、イギリスで遠征に備えます。クイーン・エリザベス空母打撃群にとって初の実任務はこの春、母港ポーツマスからアジア方面へ向かうことが予定されています。

※1か所「クイーン・エリザベス」が「クイーン・エリザベル」になっていました。お詫びして訂正いたします。

<出典・引用>
イギリス国防省 プレスリリース
アメリカ国防総省 プレスリリース
Image:Crown Copyright/USMC

(咲村珠樹)