暑い季節で要注意なのが熱中症。特に年配の方は代謝が落ちているため、自分でも気づかないうちに熱中症になる恐れがあります。漫画家が偶然立ち寄ったスーパーで、熱中症で横たわるお年寄りを発見し、店員さんに連絡しことなきを得たというエピソードがTwitterに投稿されました。

今日、実は打ち合わせで外に出たんですけど、スーパーの屋外の園芸コーナーでご老人が寝てたんですよ。周囲みんな気づいてるけど「あーヤバい人だ」的な反応だったんですけど、なんか僕は不安になって店員さんに言いに行ったんですよ。
そしたらヤベー人じゃなく熱中症でした。

 このエピソードをツイートしたのは、ホラー漫画家の洋介犬さん。編集者との打ち合わせで昼頃に外出し、約束の時間まで余裕があったため偶然立ち寄ったスーパーでの出来事だったといいます。

 屋外にある園芸コーナー、各種の肥料や培養土が置いてある場所で、陳列された培養土の袋の上で寝ているお年寄りが目に留まりました。周囲の人も存在に気づいていたそうですが、そんなところに寝ているのを不審がり、遠巻きにしている状態だったのだとか。

 しかし、そのままにしていていいものか……と感じた洋介犬さん。横たわるお年寄りの様子を確かめました。

 「かなり近寄ったわけではないのですが、寝ているのか、不謹慎なことを言わせていただければ亡くなっているのか分からないほど静かに仰向けで寝ていらっしゃいました。履いていたサンダルは脱げていて『これは大ごとなのでは?』と思い、店員さんを呼ぶことにしました」

 嫌な予感を抱いたため、店員さんを呼びに店内へ。サービスカウンターに店員さんがいなかったため、売り場で品出しをしている店員さんを見つけ、お年寄りが横たわる場所まで同行してもらいます。

 この時分かったそうなのですが、お年寄りが横たわっている場所は駐輪場に近く、店員さんの動線から外れた死角になっていたとのこと。このため店員さんも場所を告げられた時、一瞬どこか分からなかったのだとか。

 店員さんはお年寄りのそばに行き、症状の聞き取りや水分補充の話をしていたことから、どうやら熱中症で動けなくなってしまっていたようです。この際、頭痛などの自覚症状はないとご本人は話していたとのこと。

 年をとると代謝が落ち、暑くなっても汗をうまくかけなくなって体温の上昇を抑えられず、熱中症に陥りやすくなります。このお年寄りも暑さの盛りとなる時間帯、気づかぬうちに熱中症になっていたのかもしれません。

■ 熱中症で気を付けるべきこと

 実は筆者も、過去に熱中症になって医療機関で点滴治療を受けた経験者。その時の症状は、まず発汗がなくなり首の後ろを中心に熱がこもった状態から、手指の震え、まっすぐ歩けず視界が薄暗くなるといった方に進んでいきました。

 たまたま自身で「これは熱中症だ」と気づいて冷房のきいた建物に入り、水分吸収率の高い飲料をゆっくり飲みながら休んだため、自力で医療機関にかかれるくらいにまで体力が回復したのですが、自覚がなければ危なかったかもしれません。

 日差しの強い日であれば、暑さを感じて熱中症対策をとりやすいのですが、曇って湿度の高い日は危険を感じにくく、対策も甘くなりがちです。

 1950年代にアメリカ海兵隊が新兵訓練用に開発し、現在では天気予報でも発表される熱中症予防の目安「暑さ指数(WBGT)」では、気温・湿度・輻射熱の3要素のうち、一番重視しているのが湿度で、全体の7割を占めるほど重要。指数28を超えると熱中症の発生率が急激に跳ね上がるとされます。

 なぜ湿度が重視されるかというと、湿度が高いと汗をかいても蒸発しにくくなり、結果として体内の熱を排出できなくなってしまうから。代謝が悪くなり、汗の量が少なくなったお年寄りは、さらに低い湿度でも熱中症になりやすくなるともいえます。

 熱中症を予防するためには、最高気温よりも最小湿度の高さを気にした方がよく、前日と同じ気温でも湿度が高ければ危険性が増すと覚えておいた方がいいでしょう。汗をかかないまま熱中症になることもあるので、体に熱がこもったような感覚や、頭がぼーっとするなど、初期の症状に注意して早い時点で対処するようにしたいですね。

<記事化協力>
洋介犬さん(@yohsuken)

<参考>
環境省 熱中症予防情報サイト

(咲村珠樹)