初めてのバレエの発表会を控えた皆さん。楽しみな反面、当日の流れや持ち物など、不安な点も多々あるでしょう。
今回は、その中でも「食事」にフォーカスして、発表会ではどのような食事を用意すべきか、注意点に触れながら解説していきます。今回ご紹介することを頭に入れておけば、本番前に食事であたふたすることもないでしょう。
バレエ歴21年の筆者の体験談や、筆者が行ったアンケートなどを参考に、幼児~小学生までのお子さん、中学生以上、付き添いの保護者に分けて発表会の食事事情を解説していきます。
なお、注意していただきたいのが、「教室によってルールが異なる可能性がある」ということ。本記事を参考にしつつも、先生や同じ教室の先輩ママに、発表会の食事について尋ねることもぜひ実践していただければと思います。
■ 発表会当日の流れ
食事事情を解説する前に、発表会当日の流れを簡単にご紹介します。教室によって細かい部分は異なると思いますが、基本的には下記のような流れになるでしょう。
▼発表会当日の流れ▼
・9時頃:楽屋入りし、舞台メイクやウォームアップを行う
・10時頃:前日気になったところなど、部分的な最終リハーサルを行う
・12時頃:集合写真の撮影、先生のお話、メイク直しなど最終準備
・13~14時頃:開演
・17~18時頃:終演
・19時頃:会場を出る
ご覧のように、朝会場入りしたら夜まで会場から出ることはできません。その間は、舞台メイクやリハーサル、その他の準備で忙しく、「休憩時間」と銘打って昼食の時間が設けられることは少ないでしょう。
そのため、出演者たちはリハーサルなどの合間に食事を済ませる必要があります。
■ 幼児~小学生
出演者であれば、年齢に関係なく注意したいのが「衣装を汚さない」ことと「仕上がったメイクをなるべく崩さない」こと。特に、幼児~小学生の小さなお子さんには、細心の注意が必要です。
そこで、幼児~小学生のお子さんには、下記のような食事や飲み物をおすすめします。
▼幼児~小学生におすすめの食事・飲み物▼
(1)一口サイズのおにぎりやパン
(2)一口で食べられるおかず
(3)水、スポーツドリンク
(4)パクッとつまめる一口サイズのお菓子
とはいえ、各項目には注意事項もあります。次で詳細を説明するので、参考にする場合にはあわせてご一読ください。
(1)一口サイズのおにぎりやパン
発表会本番の食事は、メイクが崩れないように一口サイズにするのが基本です。おにぎりやパンも一口大にしましょう。
おにぎりは一つずつラップにくるんでおくと食べやすいです。
パンの場合は「スティックパン」がおすすめ。カットしやすく、食べた際にも口当たりがやわらかいので比較的食べやすいパンです。種類はプレーン。チョコレート入りの場合はタイツに落としたとき色移りする可能性があるので、避けた方が無難です。
ちなみに、幼児クラスのお子さんの場合には、スティックパンの中でもより口溶けの良い「アンパンマン」シリーズがおすすめです。
(2)一口で食べられるおかず
おかずを入れたお弁当を持参する場合、卵焼きやウインナーなど一口で食べられるものを選びましょう。
一口サイズのおかずは、お箸やフォークを使わないで済むよう一つずつピックで刺しておくと食べるときに便利です。フォークやお箸を使わせると、小さいお子さんの場合にはおかずを落として転がしてしまうことがあります。一つずつピックに刺してつまめるようにしておけば、そうした事態はある程度避けられます。
他にも卵焼きの場合には、股が深めのフォークタイプのピックがおすすめ。1本刺しだとクルクルまわって落とすことがあるからです。
基本的には「衣装を汚さない」「メイクを崩さない」ことを念頭に置いて食事を選べば大丈夫。なお、教室によっては、おかず自体を禁止している場合もあります。事前に確認しておきましょう。
【避けた方が良いおかず(一例)】
・ミートボール
・汁気のあるもの(ひたひたの「おひたし」など)
(3)水、スポーツドリンク
原則として衣装を着たまま飲食するのはNGですが、舞台袖などでは衣装を着たまま水分補給をする可能性があります。万が一、衣装にこぼしてしまったときのことを考えて、飲み物は水やスポーツドリンクなど色のついていないものがよいでしょう。
そして、飲み物を飲むときは、口紅が落ちないようにストローを使うのがおすすめ。ストローが付いた水筒を選ぶか、ペットボトルに装着できるストローもおすすめです。
ペットボトルに装着できるストローは、はめ込む口がペットボトルの種類によってはうまく合致しません。事前に自宅で装着してから持って行くとよいでしょう。
(4)パクッとつまめる一口サイズのお菓子
幼児~小学生の小さなお子さんは、お姉さんたちに比べて出演する作品数が少なく、待ち時間が長くなることもよくあります。待ちが長くて疲れてしまったときのために、こぼしたり汚れたりする心配の少ない一口サイズのお菓子があると便利です。
飴、一口サイズのゼリー、一口おかきなどが個人的なおすすめではありますが、お菓子も教室によって禁止事項があります。例えば、お菓子自体の持ち込み不可、指定の一部のみ可などです。
また、フルーツもエネルギー補給には適していますが、汁が飛びやすいため禁止している教室は少なくありません。これも必ず教室に確認してから用意してください。
【教室によっての禁止例】
・チョコレート(落としたときの衣類への影響)
・クッキー(食べこぼしがでやすいため)
・ガム/チューイングソフトキャンディ(落としたときの衣類への影響)
・飴(落としたときの衣類への影響)
(番外)プール用の巻きタオル
ちょっと内容が異なりますが、小さいお子さんの場合には楽屋着のつもりで「プール用の巻きタオル」(首もとでとめられて、てるてる坊主みたいになるタイプ)が1枚あると便利です。
メイク時にも、食事のときにも衣類を守ることに使えます。また夏場で冷房がきいている環境下では、防寒着代わりにも使えます。
■ 中学生以上
中学生以上の出演者は自分で考えられるため、幼児~小学生ほどの注意は必要ないと個人的には思います。(もちろん「衣装を汚さない」「メイクを崩さない」という原則は大前提です)
重たい食事や脂質の多いパスタなどの食事を控えれば、基本的に好きなものを食べてよいでしょう。
ちなみに筆者は、本番前に緊張してあまり食べられなくなるタイプ。毎回おにぎりを2個持参するのですが、固形物をほとんど受け付けなくなるため、ゼリー飲料やチョコレートなどのお菓子に頼っています。
なお、今回記事を執筆するにあたって筆者のInstagramストーリーズで、「本番の日のごはんは?」というアンケートを行いました。結果は次の通りです。
▼回答結果の詳細(回答者数:121名)▼
・おにぎり、パンなど軽めに:69%(84票)
・ウィダーなどのゼリー飲料:20%(24票)
・お弁当などガッツリ:8%(10票)
・食べない:2%(3票)
ご覧の通り、最も多かったのは、おにぎりやパンなどの軽めな食事でした。続いてゼリー飲料を飲むという人も多く、本番前は軽めに済ませる人が多いようです。
普段とは異なる精神状態の中、エネルギーが不足すると十分に踊れなかったり集中できなかったりする可能性もあります。
おにぎりやパンなどの固形物を受け付けなくなる人は、ゼリー飲料やお菓子などに頼りつつ、こまめにエネルギー補給をするとよいでしょう。
■ 保護者
出演者の付き添いを行う保護者の食事事情が気になる方も多いでしょう。
冒頭で本番当日の流れをご紹介しましたが、保護者の方も、自分の子どもの世話をしながら、会場の設営をしたり受付を担当したりと、かなり忙しくなります。そのため、出演者と同様、保護者の方も仕事やお世話の合間を縫って昼食をとらなければなりません。
保護者の食事に関しては教室により大きく異なると思いますが、筆者の教室の場合、保護者会が取り仕切って、事前にお弁当を注文するシステムがあります。そのため、事前に注文したお弁当を食べるか、自分で用意した食事を食べるといった感じです。
出演者と違って衣装を着るわけでもないため、保護者の方の食事内容は自由でよいと思います。
ただし、麺類やニオイが強い食事は避けましょう。汁が飛んで近くの衣装を汚してしまったり、狭い楽屋内にニオイが充満してしまったりする可能性があります。
■ 自分に合った食事で本番を乗り切ろう
年齢や本番前にどれくらいの量を食べられるかによって、発表会当日の食事内容は変わってきます。
個人的には、少しお腹が空いているくらいが集中して踊れると感じますが、幼児~小学生のお子さんの場合は空腹で集中できないこともあり、まさに人それぞれ。
初めての発表会では、少し多めに持って行くと安心でしょう。ただし、食べ過ぎて踊れなくなったとならないように気をつけてくださいね!
また「衣装を汚さない」「仕上がったメイクをなるべく崩さない」ことも忘れずに。
自分に合った食事で、本番を無事乗り切れることを願っています!
(上村舞)