買い物をした時、お会計の金額がゾロ目だったり、最後がゼロで揃ったりすると、ちょっとラッキーと思ってしまう人も少なくないと思います。または、自分によって馴染みのある数字に反応する人も。

 情報工学系の技術士であるHPEOさんの場合、お会計で「1024」という数字に「ピッタリ」と感じてしまいました。IT系なら比較的馴染み深い感覚なのですが、どうして「ピッタリ」なのでしょう?

 HPEOさんは、IT系の資格に関する情報を、資格ごとに分けた複数のTwitterアカウントで発信しています。今回「お会計が1024円だって、ピッタリじゃん」と言ったところ、居合わせた友人からは「どこが?」と驚かれた、というエピソードをツイートしました。

 一見、半端な数字に見える「1024」。これ、コンピュータの世界では「1k(1000)」の近似値として使われることが多い数字なのです。

 人間の世界では、通常10を基準にした「10進数」を用いて計算をしていますが、コンピュータはスイッチのオンとオフの2種類でしか情報を伝えることができません。このため2を基準にした「2進数」で計算を行い、数値もそれに従ったものとなります。

 10進数では千、万、億といった大きなケタを「10のn乗」として表記することがあります。コンピュータの世界でも同じく、2進数なので「2のn乗」といった形で数え、2の10乗が「1024」という数字になります。HPEOさんが「ピッタリ」と言ったのもうなずけますね。

 HPEOさんはIT屋さんということもあり、ほかにも「256(2の8乗)などは非常に接する機会が多い数字ですから、見かけるとちょっと気になってしまいます」とのこと。

 SDカードなどの容量でも「64」「128」「256」「512」といった「2のn乗」の数字があり、見たことのある人も多いのではないでしょうか。

 これらはIT業界で仕事をしている人にとって「馴染みのある」数字ですが、確かにほかの人から見ると「なぜ?」と思われる数字かもしれません。しかし、身近な「ピッタリの数字」というのは、業界によっていろいろあるのも確かです。

 筆者は以前出版編集に携わっていたのですが、ここではページ数を「折(おり)」という単位で決めていました。多くの商業出版物の場合、1枚の大きな紙を折って8ページ分/16ページ分/32ページ分で「1折」としているので、それぞれ8、16、32の倍数が「ピッタリの数字」になり、漫画のページ数にそれが現れています。

 海外ではダース(12)を単位としていたり、さまざまな基準の「ピッタリの数字」があります。自分の身近で使っている数字にも、通常の数え方では半端な「ピッタリの数字」があるかもしれませんよ。

<記事化協力>
HPEOさん(@hpeo_jp)

(咲村珠樹)