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丸亀製麺の「青い制服の人」こと「麺職人」が作るうどんを食べてきた

update:

 Twitter上で話題になった、丸亀製麺の「青い制服の人」。青い制服の人がつくった「かきあげ」は抜群にうまいといい、その正体に注目が集まっていました。

 実は、襟や袖、帽子が紺色になっている制服は、麺づくりの技術向上を目的としてもうけられた「麺職人制度」の試験に合格した人のみが着ることを許された制服です。今回は「かきあげ」のほうが注目されましたが、本来腕を発揮しているのは麺……なはず!!

 そこで今回は丸亀製麺に取材を申し込み、麺職人が作ったうどんを食べてきました。

  •  丸亀製麺の担当者にうかがうと、麺職人制度が始まったのは2016年から。麺職人は、2022年11月末時点で全国に1030人いるといいます。

     元々、同社では麺匠(めんしょう)と呼ばれている藤本智美さんがたった1人で全国の店舗をまわり、スタッフを教育。より同じ目線や想いを持った人たちがいることでおいしいうどんを提供し続けることができるようになっています。しかし、店舗が増えるにつれて1人だけで全国のスタッフに教育することは困難だと感じ、麺職人制度を導入したといいます。

     麺職人は「一つ星」「二つ星」「三つ星」「四つ星」の4段階あり、2022年11月末時点で「二つ星」まで取得しているのは、1030人いる麺職人の中でわずか4人。千葉県の「我孫子店」、山口県の「岩国店」、京都府の「京都ファミリー店」の3店舗と、本社の麺職人の育成や試験の試験官などを担当する職人育成課にいるそうです。

     ちなみに東京都内に「一つ星」の麺職人がいる店舗の数は、23店舗となっています。

     麺職人の受験資格についてたずねると、「麺づくりに対する技術や知識、想いを持っている方であり、それを人にしっかり伝えられる方である必要があります」と、丸亀製麺の広報担当者。加えて、自身が働く店舗のマネージャークラスのスタッフから推薦を受ける必要もあるそうです。

     試験は実技と筆記があり、両方に合格することが必須。「小麦粉を残さず使い切っているか」「温度をしっかり確認しているか」などの技術面から、「綺麗な制服で臨んでいるか」など評価ポイントは多岐にわたり、約100項目を超えるといいます。それらをすべてチェックし、採点をおこなっているそうです。

    ■ 麺職人がいるお店には看板が掲げられている

     厳しい試験に合格し、見事「一つ星」を獲得した麺職人が環八平和台店にいるということで行ってきました。お店の入口には「当店の麺職人は『矢野』です。こだわりのうどんをお楽しみください」と書かれた看板が。麺職人がいるお店には、こちらの看板がかけられています。

    丸亀製麺環八平和台店

    「当店の麺職人は『矢野』です。こだわりのうどんをお楽しみください」と書かれた看板

     今回は、筆者も専用の白衣を着用し、手洗いなども入念に行った上で、特別に厨房の中へ。矢野さんがうどんを作っている様子を撮影させていただきました。迅速かつ正確、丁寧にうどんを伸ばし、裁断。うどんを茹でて盛り付けます。すべての動きに無駄がなく、その手さばきに圧倒されてしまいました。

    丁寧にうどんを伸ばす

    うどんを茹でる

    盛り付け

     いよいよ実食。うどん本来の味をじっくり楽しめるという「釜揚げうどん」(並/税込290円)。茹でたての湯気とともに、うどんの香りが食欲を刺激してきます。それでは、いただきます!

    「釜揚げうどん」(並/税込290円)

    うどんの香りが食欲を刺激

     まずは、だしを付けずに麺だけで……。もっちり弾力があって小麦の風味や甘みが感じられます。うどんの温かさが体を包み込むようで、なんだかホッとします。日本人に生まれて良かった。

    だしを付けずに麺だけで

     続いて、だしをつけて口の中へ。だしの風味がうどんに絡みつき、小麦の旨味を引き出しているよう。のどごしもよく、うどんがつるつると入っていきます。

    だしをつけて口の中へ

     丸亀製麺を食べた経験はそれなりにありますが、確かにこののどごし、かみ心地……今まで食べてきた中でも一番美味しい……。もちろん、いつも食べている丸亀製麺のうどんも美味しいのですが、うどんの麺一つとっても作る人が違うだけでこうも違うのかとちょっとした驚きがありました。

     その後は、青ねぎやすりごま、天かすなどを入れて味変をしつつ、矢野さんが作ったうどんを堪能。290円でこれだけ楽しめるのはお得ですね。

    ネギを入れて

    天かすなどを入れて味変

     あっという間に完食。ごちそうさまでした!美味しいうどんを作ってくれた麺職人の矢野さんにも少しだけ話をうかがいました。

    あっという間に完食

     矢野さんが麺職人になったのは2か月前の2022年10月。環八平和台店がオープンした頃から働いていて、最初に教わったのが製麺。製麺には思い入れが強く、自分の技術のさらなる向上を目指し、麺職人の試験を受けたといいます。

     特に難しくて大変だったことは、製麺の最初の工程であるミキシング。小麦粉と塩と水を混ぜる作業のことで、試験の時は一番緊張したそう。試験当日の朝、麺職人である店長と一緒に練習したものの本番でミス。1度試験に落ちてしまい、2度目の挑戦で「一つ星」に合格。「本当に嬉しかった」と語ります。

    麺職人の矢野さん

     製麺は温度管理が重要で、「熟成時間にも影響が出てくる」と矢野さん。その他にも、茹であがり後にどれくらいの厚さになるか、生地の状態からどれくらい茹でたら調度良い仕上がりになるかなどを見極めるのが非常に重要。いつも気を配りながら、うどんと向き合っているといいます。

     矢野さんのインタビューでは、うどんに対する真摯な思いがヒシヒシと伝わってきました。丸亀製麺で麺職人の看板を見かけたら、麺職人たちのうどんに対する熱い思いも噛みしめて、うどんと一緒に味わってみてください。

    取材協力:株式会社丸亀製麺

    (取材・撮影:佐藤圭亮)

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