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根っこまで表現!立体刺繍で作った「蒲公英(たんぽぽ)」のクオリティーに驚愕

 刺繍の必需品である枠(フープ)を使用しない「オフフープ(R)」という独自の技法で立体刺繍を作っているPieniSieniさん。

 「まだまだニッチな立体刺繍に興味を持って頂きたい」とSNSに投稿した作品「蒲公英(たんぽぽ)」には、2万4000件を超えるいいねがよせられ、「本物かと思いました!」「凄すぎる!」と絶賛されています。

  •  PieniSieniさんが立体刺繍で「蒲公英」を作ったのは、2022年4月。「蒲公英」はずっと挑戦してみたかった題材であり、スキルアップのために作ったと明かします。

    PieniSieniさんの投稿

     「この花には多くの課題が詰まっている」とPieniSieniさん。花芯の細かい表現や多数の細長い花弁、綿毛を本体に固定する方法など、越えなければならないハードルが多かったといいます。

    PieniSieniさんが立体刺繍でを作った「蒲公英」

     投稿された作品を細かくみていくと、花の部分だけでなく根っこの部分までしっかりと再現されていることに驚かされます。これはPieniSieniさん代表作のひとつである「根付きの植物シリーズ」で、命を維持するために必要な水と栄養を吸収する無くてはならない根の部分を花と一緒に表現することにより、生命力をより強く表現しているのだとか。

     今回の「蒲公英」は作成方法を模索しつつ新しい手法を多く取り入れて作ったこともあり、完成までにかかった日数は3~4週間。特にこだわった部分は花芯。蒲公英のおしべは先が二股に分かれており、この形状を刺繡糸で一本一本作り、それを束ねて花芯の部分を表現したそう。さらに綿毛も1つずつ作るなど、とにかく手間と時間を惜しまずに作ったとのこと。

    完成までに3~4週間ほどかかった「蒲公英」

     このような大変な工程を経て完成した「蒲公英」ですが、PieniSieniさんは「あくまでも技術力と表現力の向上を目的とした試作品」と語ります。自分が納得する作品を完成させるために集中して作り続けたものの、まだまだ改善点が多く課題は山積みなのだとか。

     ただ、PieniSieniさんはそれを「伸びしろ」ととらえ、「今よりもさらに良い作品が作れる可能性がる」と考え、作家としてのモチベーション維持に繋がっているそうです。このあくなき向上心と作品に対する真摯な姿勢が作品のクオリティーを高くし続けているのかもしれませんね。

    <記事化協力>
    PieniSieni(ピエニシエニ) オフフープ立体刺繍作家さん(@kippermum

    (佐藤圭亮)

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