期待外れの観光名所「世界三大がっかり」と呼ばれている3つのスポットをご存じでしょうか?シンガポールの「マーライオン像」、デンマークの「人魚姫」、そしてベルギーの「小便小僧像」が該当しますが、あろうことかこれらを合体させた作品が、Xで脚光を浴びています。

 頭はマーライオン、胴体は小便小僧、足元は人魚……という、ストレートすぎる像に名付けられたタイトルは「がっかりトリプル」。ちょっとお得感あるネーミングも秀逸です。

 制作者は、ゆるい作品を創り続ける二人組アートユニット「現代美術二等兵」の「ふじわらかつひと」さん。「駄美術」を活動のテーマに、見れば思わず脱力してしまうような、アート作品を多数手がけています。

 そんなふじわらさんが、本作を発表したのは、2013年のこと。神戸・六甲山上で毎年開催される「六甲ミーツ・アート」(現名称は「神戸六甲ミーツ・アート」)に出展するために制作した作品です。

 先に会場内の下見をして、池に作品を置くことを決定。はじめは豪華なお風呂にあるような、口からお湯を出すライオンの顔をイメージしていたそうですが、二人でやり取りをしているうちに「『世界三大がっかり』って、全部『水』関係やなあ」と気が付き、合体させる案を閃きました。

 もちろん内部にポンプを仕込み、口と膀胱から水が出る仕掛けも施されています。当時も大きな話題となり、SNSに写真をアップする方が続出。また、来場者の投票で決まる六甲ミーツ・アート大賞で第3位の奨励賞も獲得しました。

水が飛び出す仕掛けも

 ふじわらさんにとって、今は良き思い出のひとつである「がっかりトリプル」を、今回Xに投稿したところ、作品には2万件以上の「いいね」がつくなど再び大きな反響が。

 これにはふじわらさんも「古いネタなのですが、また拡散されて驚いています。SNSをやっている層が10年で入れ替わったということでしょうか……」と、少し困惑気味でしたが、ユニークな作品の魅力は不変である、ということの証明でしょう。

 なお本作は現在、ふじわらさんが保管中。どこかで展示しているというわけではありません。しかし、「またなにか出番があれば、ぜひ展示させていただきたいです」と、再展示にも前向きな考えを示していました。

 さらには「熱帯魚の水槽用のポンプを使って、もっと小さいものをつくろうと検討中」という情報も。11年の時を経て、「がっかりトリプル」に再び動きがあるかもしれません。

<記事化協力>
現代美術二等兵ふじわらかつひとさん(@f2touhey

(山口弘剛)