アメリカ南方軍(SOUTHCOM)は2020年7月15日(アメリカ東部時間)、ベネズエラの一方的な領海拡張行為への抗議活動として、駆逐艦ピンクニーがベネズエラ沖のカリブ海で「航行の自由作戦」を実施したと発表しました。これは6月23日に駆逐艦ニッツェが実施したものと同様の行動です。
ベネズエラのマドゥロ大統領は、国際法で「領海」と認められている海岸線から12海里までの海域だけでなく、さらに3海里(5.4km)沖合についても権利を主張し、船舶や航空機の通過を制限する姿勢を見せています。
アメリカはこの行為に対し、国際法に違反していると指摘。また、マドゥロ政権が違法な麻薬の取引をしているとして、アメリカ沿岸警備隊と協調してベネズエラ周辺海域でのパトロールを強化しています。
駆逐艦ニッツェが6月23日に実施したのと同様に、駆逐艦ピンクニーは国際法で認められたベネズエラの領海である海岸線から12海里を越え、マドゥロ政権が権利を主張する15海里以内の公海上を航行。国際法に保証された公海およびその上空を自由に通過する権利、各国による合法的な利用の維持について関与し続ける、というアメリカの姿勢を明らかにしました。
アメリカ南方軍司令官のクレイグ・ファーラー大将は、今回の駆逐艦ピンクニーの行動について「私たちは違法な主張に耳を貸すことなく、公海を自由に航行する権利を主張します。各国に保証された公海への進入、航行、通過の権利は、明確に国際法に違反する義務、制限の対象にはなりません」とコメントを発表。正当な権利の行使であることを協調しています。
南沙諸島や西沙諸島がある南シナ海での行動は日本でも知られていますが、アメリカは世界各地で国際法に違反する海洋権益の主張に対し、海軍艦艇による「航行の自由作戦」を実施しています。
<出典・引用>
アメリカ南方軍 プレスリリース
Image:U.S.Navy
(咲村珠樹)