毎年9月20日~26日は、動物愛護管理法に基づく「動物愛護週間」。新型コロナウイルス禍の影響で、ペットを飼う家庭が増えた反面、無責任な飼い主による飼育放棄も増えているといいます。そんな中、動物との意思疎通「アニマルコミュニケーション」を通じ、相性の良い飼い主を見つけて保護犬を引き継ぐ活動をしているNPOがあります。
この活動をしているのは、東京を拠点にしているNPO法人しっぽのみかた。主に野犬を殺処分から救うべく、新しい家族が見つかるまで健康管理や預かり保護をしています。
今回のコロナ禍において同団体では「保護犬の受け入れ希望者が増え」「1年8か月以上希望者が出なかった犬も、このコロナ禍で立て続けに決まるなど、団体職員も驚いています」と、嬉しい出来事があった一方で、「コロナの影響で経済的に苦しくなり、正式譲渡をした方から返却があった」という事も起きていたそう。
保護犬の多くはもともと、「飼い主から捨てられた」という精神的な傷を負っています。その傷を癒やし、再び人間との共生関係を築いていくことが重要です。
通常の場合、保護犬の新たな飼い主を探す活動では、面会に来た人が気に入った保護犬を選ぶ、という形が主体。しかし、実際に暮らし始めてみると、コロナ禍の影響に関わらず犬と飼い主との相性が合わず、再び戻ってきてしまうケースもあるといいます。
こういった状況を改善すべく、NPO法人しっぽのみかたでは、ハワイで活躍するアニマルコミュニケーターShioriさんに協力してもらい、アニマルコミュニケーションを活用した保護犬の受け入れサポートを始めました。
アニマルコミュニケーションとは、簡単にいえば動物との意思疎通を図る行為のこと。動物の思っていることを仕草や様子で察し、理解してより良い関係を作っていく行為を指します。
たとえば、噛み癖など問題行動を起こすペットも、必ずそこに至るまでの理由があります。問題行動は意思疎通がうまくいかなかった結果であり、その理由を理解し、互いに信頼しあえる関係を作ることで改善を目指していく……なんだか赤ちゃんの子育てにも似ていますね。
シェルターでは、保護犬を引き取りたい人に対し、アニマルコミュニケーションを通じ、その犬の性格を理解してもらい、精神や健康状態を把握してもらいます。そして、なぜシェルターに保護されているのかという説明と同時に、シェルターの人間は味方であり、協力者であると安心してもらうことも重要。
じっくりと保護犬とコミュニケーションしてもらい、性格を知ってもらった上で、長く暮らしていける相性の良い人へと橋渡しする。人間のマッチングでは当たり前のことのように思えますが、動物でも基本は同じ。ペットと人が対等に、ともに幸せに暮らせるのが理想です。
一度不幸な目にあった保護犬が、2度と同じ目にあわないように。アニマルコミュニケーションを活用したこの方法が広がることで、より良いペットとの関係も築けていくのかもしれません。
※訂正:初出時「3か月以上希望者が出なかった犬」と紹介しておりましたが正しくは「1年8か月以上希望者が出なかった犬」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。
情報提供:NPO法人しっぽのみかた
(咲村珠樹)