「アルミ缶、一刀両断!!!!!」と紹介された写真に写っていたのは、つぶやき通りに一刀両断されたアルミ缶。さらに真っ二つにした「張本人」も写っています。

 侍らしき風貌をしていますが、実はこれもまたアルミ缶。Twitterへの投稿者である工作人カイセイさん(以下、カイセイさん)が生み出した「アルミ缶侍」なんです。

 カイセイさんは、兵庫県・神戸芸術工科大学に通う大学生。大学でデザインを学びつつ、個人でも様々なアルミ缶を用いて「アルミ缶アート」の創作活動を行っています。

 「1度気に入ったもの(缶)を捨ててしまうだけでなく、もう1度輝かせたいと思ったのが、元々の活動のきっかけなんです」

 今回投稿したのは、飲料メーカーのサントリーが販売展開している「ZONe(ゾーン)」の赤缶「FIRE WALL(ファイヤーウォール)」を使用した作品。

 「『防火壁』ということから、『侍が何かを守っている』をイメージしました」というそれは、赤い甲冑姿の侍が、眼前の敵(缶)を一刀両断して守り抜くという勇ましい様子を表現したもの。

 甲冑もですが、兜に刀といった造形に加え、着用する・持つ頭や手も含めて、全て先述のZONe缶を用いて作成しています。

 しかしながらアルミ缶といえば、一度折れ曲がると形状回復が困難な容器。繊細な作業であったことが容易に想像できます。実際カイセイさんも、色々と苦労した点があったそう。

刀を持つ部分の手など、全てアルミ缶で作り上げています。

 「特に苦労した点は『顔』の部分でした。アルミ缶なので、折り曲げる部分を間違えると、見栄えが悪くなってしまうので特に慎重に作りました」

最も苦労した点である「顔」。折り曲げる部分を慎重に選定したとのこと。

 昨今は、空き缶類のリサイクルが広く世間に浸透していますが、カイセイさんが繰り出す「空き缶アート」もまたリサイクルのひとつの形かも。「缶をもう1度輝かせたい」という、当初の思い通りの傑作になっているのではないでしょうか。環境面にも配慮した作品は、ある意味「現代アート」の最先端ともいえるかもしれませんね。

 なお、カイセイさんの作品は、SNS上で度々話題になっています。特にカルピスウォーター缶で作ったお城のアートは、Twitterでの投稿当時、5万を超えるいいねが寄せられています。

カルピスウォーター缶で作った城の空き缶アートは5万を超えるいいねが寄せられる反響。

 これら作品群は、Twitterの他、YouTubeチャンネル「工作人カイセイ -Craftsman Kaisei-」でも公開されています。実は、今回投稿した「アルミ缶侍」は、元々昨年(2020年)に作成したもの。このときの様子も動画で細かく紹介されています。

<記事化協力>
工作人 カイセイ (アルミ缶の人)さん(@yamarinPD)

(向山純平)