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もし戦国時代にゴシップ誌があったら?妄想がはかどる「週刊戦国ゴシップ」刊行

 さまざまな武将が諸国にいて、文字通り「群雄割拠」の状態だった戦国時代。その中には、歴史の表舞台では語られにくいエピソードも存在しています。

 日本史などを元ネタにパロディ画像を制作しているスエヒロさんは、戦国武将たちの裏事情に着目。当時もしゴシップ週刊誌があったとしたら、という著書「週刊戦国ゴシップ」が2023年2月1日に刊行されます。

  •  戦国時代にもゴシップはもちろんあり、後の世に忍者と呼ばれるようになった者たちが情報収集にあたり、武将たちはその情報を戦の計画や、相手の調略(策略を巡らし軍門にくだらせること)に利用していました。

     秘密にしていた情報を人知れず入手する、というのは、現代の週刊誌でもよくあること。もし戦国時代に週刊誌があり、武将たちの裏事情が面白おかしく記事にされていたら……というコンセプトで作られたのが、スエヒロさんの新著「週刊戦国ゴシップ」です。

     内容の参考、としてスエヒロさんがTwitterに投稿した画像には、どこかで見たような週刊誌の表紙に、戦国武将たちのさまざまなゴシップが見出しとして並びます。あくまでも参考なので、それぞれ異なる年代のエピソードがまとめられているようです。

    興味深い見出しが並ぶ(ツイートのスクリーンショット)

     トップ記事となっているのは「織田信長(50)の壮絶パワハラ実態」。腹心武将が激白とありますが、部下の前で叱責、欄干に頭押し付け、接待料理投げつけといった行為に、「この金柑頭(ハゲ頭)野郎が!」と罵倒されたエピソードを見ると、証言者は表紙左上に見える明智光秀のようです。

     そのすぐ下にある福島正則の泥酔事件は、大酒飲みで酒癖が悪かった彼ならではのエピソード。民謡「黒田節」で歌われている黒田長政の家臣、母里友信と飲み比べをし、負けて天下三名槍のひとつ「日本号」を取られてしまった話が記事になったものです。現在「日本号」は福岡市博物館の所蔵品となっています。

     そのほかにも、武田信玄が死後3年は事実を隠すようにと遺言した話や、徳川家康のお漏らし疑惑(三方ヶ原の戦い、もしくはその前哨戦である一言坂の戦いで敗走中の出来事とされる)といった話が大きな見出しに。どちらも影響の大きい話だけに、本人たちが隠したいスクープといえるでしょう。

     グラビアは細川忠興の正室、ガラシャ夫人の撮り下ろしスナップ。本名は玉子と伝わっていますが、洗礼名の「ガラシャ」の方がよく知られていますね。父はトップの見出しで織田信長からの壮絶なパワハラを激白した明智光秀です。

     連載企画には「島左近のドキドキ潜伏日記」。島左近こと島清興は、石田三成方の武将として関ヶ原の戦いに参戦したのち消息を絶っており、軍記物「石田軍記」や「古今武家盛衰記」などでは京都で潜伏生活を送って死去した旨が書かれていることから、その説に従った連載記事のようです。

     戦国時代を対象とした本は数多く、それぞれに描かれた武将像はバラエティに富んでいます。記事の元ネタになったエピソードを探ってみると、これまでより歴史に詳しくなっているかも。

     スエヒロさんの「週刊戦国ゴシップ」は、淡交社より2023年2月1日刊行予定。茶道と関わりの深い出版社から刊行されるということでも、茶の湯が武将の間に広まった戦国時代〜安土桃山時代との繋がりを感じてしまいますね。

    <記事化協力>
    スエヒロさん(@numrock)

    (咲村珠樹)

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