おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

昇級させるならどっち? 出社派と在宅派への「評価」に様々な意見

 近年、新たな働き方として広く普及した「リモートワーク」。一方でそれによる「軋轢」が生じるケースも少なからず発生しています。

 とりわけ大きな課題となっているのが、仕事に対しての「評価」。公平性を期したものであるか、疑問を生じさせる現状にあります。

 それを如実に示したTwitter上での「問いかけ」に、様々な意見が寄せられました。

  • ■ どちらか一方昇格させるなら?

    「あなたは評価者です。部下2人を評価します。Aはフルリモート。Bは出社。あなたも出社。AとBの成果は同じ。どちらか一方だけを昇格させる必要がある場合、どちらを評価しますか?」

     この日、Twitterで上記の発信を行ったのはHori Kazuhiroさん。以前はメガバンクに勤務し、現在は故郷・北海道札幌市の製菓会社で経営企画の仕事に従事しています。

     「リモート環境が当たり前となりつつある一方で、リアル対面重視の年配者が評価を含めた『意思決定者』というケースは依然として多くあります。こうした中で、『本当に公平に見ることが出来るのか?』という疑問がきっかけでした」

     今回Horiさんが提示したのは、同じ「成果」を出した「A」と「B」という人物に対し、どちらかを「昇格」させるのかがテーマ。両者の違いは働き方の違いだけです。これに対し、実に様々な意見が寄せられているのです。

    ■ Aをあげる人はコスパ重視 Bは組織運営に重きを置く傾向

     Aを挙げた人は、主に「コストパフォーマンス」を理由としている傾向がありました。普段より在宅で従事しているため、出勤などの諸経費が発生せず、出社をすればさらにいい成果を出すことへの期待もする点も理由となっています。明確に数字として「利益」を生み出し、自己管理も行えている点で高評価を与えているようです。

     一方、Bを挙げた人も少なからず存在しています。こちらは「昇格」から逆算した見方をする人が多く、それが管理職となる場合、出社している社員とのコミュニケーションの円滑性など、マネジメント力を重視した声が寄せられました。「組織運営」に重きを置く傾向があります。

     また、「どちらも昇格させるべき」「決められない」という“本末転倒”な回答も。中にはじゃんけんで勝った方なんてユニークな手段を提案するユーザーもいました。

    ■ 「近接性バイアス」を念頭に

     結果として、リプライ(返信)と引用を合わせて1000件をゆうに超える声が集まった投稿には、Horiさんも率直に驚いたとのこと。「意見が割れるのは予想したのですが、想定以上の反響でしたね」と振り返っています。

     その「意見が割れる」ですが、実はHoriさんは、予めある「現象」を念頭に置いて発信しています。それは「近接性バイアス」。

     これは、「物理的な距離感の近さや、対面的な接触時間の長さにより、特定人物を優遇すること」を示す現象で、今回の場合は、Bの「出社」にどれだけバイアスがかからないかがポイントとなります。

     もう一度Horiさんの投稿に寄せられた声を見てみましょう。少なからず“かかっている”投稿が散見されますね。そもそもの話、評価において「背景」は無用の長物。「結果が全て」です。

     しかし一方で、従来の働き方を全否定するのもナンセンスな話です。Bと答えた方で多かった「組織対応力」もまた注視すべき点で、全社員をフルリモートで従事させることが出来る企業もほんの一握りなことも見過ごせない事実です。筆者も3年近く「完全在宅ワーカー」として働いていますが、自分が「圧倒的少数派」という自覚があります。

     そのため、日本では「ハイブリッドワーク」と称される、「オフィスワーク」と「リモートワーク」を組み合わせ、それを社員に選ばせる動きが加速しています。

     つまるところ「いいとこどり」な働き方ですが、これにより「近接性バイアス」も幾分か緩和されるかもしれません。そのときにまた、今回のHoriさんのような問いかけをした際の結果との「比較」をしてみたいところですね。

    <記事化協力>
    Kazuhiro Horiさん(@Kazneedscaffein

    (向山純平)

    あわせて読みたい関連記事
  • 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え
    エンタメ, 芸能人

    松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超…

  • 「ジョブ型雇用の今」調査レポート発表 評価報酬制度などに課題
    企業・サービス, 経済

    「ジョブ型雇用の今」調査レポート発表 評価報酬制度などに課題

  • 三井住友海上が挑戦を後押しする目標設計ダイアリーを無料配布 「やってみるカメ?プロジェクト」開始
    イベント・キャンペーン, 経済

    三井住友海上が挑戦を後押しする目標設計ダイアリーを無料配布 「やってみるカメ?プ…

  • 「出勤日」が「出難日」に
    インターネット, おもしろ

    会社のホワイトボードにまさかの書き間違い 「出勤日」が「出難日」に

  • アメリカンビレッジ
    イベント・キャンペーン, 経済

    ウェルビーイングな働き方を体験 補助金が適用される「沖縄ワーケーション促進事業モ…

  • チャットツールの謎マナー……メンションする際に"さん"付けする?しない?
    インターネット, 社会・物議

    チャットツールの謎マナー……メンションする際に「さん」付けする?しない?

  • 我が家に突撃してきた若いマンション営業マン
    インターネット, おもしろ

    訪問営業を撃退する妻と営業マンを不憫に思う夫 「妻に共感」と「営業マンに同情」の…

  • LINEの起動画面の画像
    ライフ, 雑学

    LINEの返信が遅い人に「イラつく!?」 対する返信遅い人の言い分は……

  • 「企業人orフリーランス」「出社or在宅」 今こそ考えたいこれからの「働き方」
    社会, 経済

    「企業人orフリーランス」「出社or在宅」 今こそ考えたいこれからの「働き方」

  • ゼロから始めるライター業 「お金を取れる文章」を書くことの難しさ
    インターネット, 雑学・コラム

    ゼロから始めるライター業 「お金を取れる文章」を書くことの難しさ

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 北海道産のチーズを2種類使った秋冬限定フレーバー「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」
    商品・物販, 経済

    北海道産チーズのW使い!「かっぱえびせん 北海道Wチーズ味」がこの秋登場

  • クリスプ のりしおバター味
    商品・物販, 経済

    カルビー、「クリスプ のりしおバター味」発売 レアな“ホシ型クリスプ”も登場

  • 特別災害対策本部車(国土交通省)
    社会, 経済

    消防車も自衛隊車もNERVも! 防災車両がずらり「ぼうさいモーターショー2025…

  • ウィキペディアのページビュー
    インターネット, サービス・テクノロジー

    AI時代でウィキペディア苦境 人間の閲覧数8%減、財団が警鐘

  • ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロティカ解禁」方針
    インターネット, サービス・テクノロジー

    ChatGPTが“全年齢対応AI”を卒業? アルトマン氏が語った「成人向けエロテ…

  • ガンホー「ケリ姫スイーツ」2026年1月末に終了 2012年配信開始から13年
    ゲーム, ニュース・話題

    ガンホー「ケリ姫スイーツ」2026年1月末に終了 2012年配信開始から13年

  • トピックス

    1. 目指せ去勢マスター!「繁殖」テーマのローグライクゲーム爆誕

      目指せ去勢マスター!「繁殖」テーマのローグライクゲーム爆誕

      海外の映画やゲームが日本向けにローカライズされる際、タイトルも和訳されることもしばしばですが、「あま…
    2. 実家の一室をレトロゲームショップ風に改造 本物の什器も揃えた昭和男児の夢空間

      実家の一室をレトロゲームショップ風に改造 本物の什器も揃えた昭和男児の夢空間

      一歩足を踏み入れると、そこはまるで平成初期のゲームショップ。ショーケースにはファミコンソフトがずらり…
    3. ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう

      ケーキの上は只今工事中!3歳のわが子に作った「工事現場ケーキ」が楽しそう

      「はたらくくるま」が好きな人に刺さること間違いなしな「工事現場ケーキ」がXで話題です。説明がなければ…

    編集部おすすめ

    1. カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      2025年10月23日22時より配信されたNintendo公式番組「カービィのエアライダー Direct 2」にて、ゲームクリエイター・桜井…
    2. 「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      ANYCOLOR株式会社は10月22日、所属ライバーである甲斐田晴さんをめぐる極めて悪質な誹謗中傷・荒らし行為への対応結果を、加害者側の意識…
    3. 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」公開40周年 タイムサーキット型時計が登場

      「バック・トゥ・ザ・フューチャー」公開40周年 タイムサーキット型時計が登場

      株式会社Gakken(学研ホールディングスグループ)は、同作の映画公開40周年を記念して、劇中の「タイムサーキット」を再現した時計「バック・…
    4. 電気通信大学が注意喚起 京王線の車内広告に何者かが不審なQRコード“貼り付け”か

      電気通信大学が注意喚起 京王線の車内広告に何者かが不審なQRコード“貼り付け”か

      電気通信大学が10月21日朝、公式Xアカウントに声明を掲載。「京王線車内の本学の広告にQRコードは記載しておりません」と述べ、車内広告にQR…
    5. 特別災害対策本部車(国土交通省)

      消防車も自衛隊車もNERVも! 防災車両がずらり「ぼうさいモーターショー2025」10月26日開催

      東京臨海広域防災公園(東京都江東区有明)で、10月26日に「ぼうさいモーターショー2025」が開催されます。警察や消防、自衛隊をはじめ、通信…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト