東京パラリンピック開幕まで1000日となった2017年11月29日。東京スカイツリーでそれを記念したカウントダウンイベントが行われ、そのNTTドコモブースで将来型通信規格「5G」による多視点スポーツ観戦のデモンストレーションが行われました。
5Gは、現在の携帯電話より飛躍的に多くの情報をやりとりできる通信規格。そのポテンシャルを判りやすく体験できる一例として、スポーツの多視点ライブストリーミングがあります。そのデモンストレーションイベント「FUTURE-EXPERIMENT VOL.2 視点を拡張せよ。」、今回はパラリンピック種目のひとつ、車いすフェンシングのデモンストレーションが行われました。
試合が行われるのは渋谷。そこと東京スカイツリーのデモ会場をつなぎます。試合会場には、正面や真上、選手のマスクにつけられた視点カメラを含む合計9台のカメラがあり、それぞれの映像が同時にライブストリーミングで転送されています。東京スカイツリーのデモ会場では、カメラのある位置に対応してモニタが設置され、そこでのカメラ映像を映していました。なお、今回はまだ回線が安定していないということで、試合本番のみあくまで5Gのイメージとして有線のバックアップ回線で行われました。
ライブストリーミングで転送されているのはフルハイビジョン(2K)映像。これはNTTドコモの中村武宏5G推進室長によると、カメラ1台あたりそれぞれ200Mbpsの通信容量があるとのこと。それが9台分ですから、およそ1.8Gbpsの通信容量が必要となり、現在の回線容量では対応しきれないといいます。しかし5Gでは、会場での実測値で最大10.5Gbpsを記録。これくらい余裕があると、2020年の東京オリンピック・パラリンピック中継で予想される4K・8Kでの中継映像も十分複数台のカメラ映像を転送することが可能です。
デモンストレーションマッチでは、パラリンピック選手による試合のほか、北京オリンピックのフルーレ個人、ロンドンオリンピックのフルーレ団体の銀メダリスト、太田雄貴さんと、リオデジャネイロパラリンピックの車いすフェンシング、女子フルーレ個人Bで金メダルを獲得したイタリアのベアトリーチェ・マリア・ヴィオ選手とのエキシビションマッチが行われました。
9台のカメラ映像は、まるでテレビ局の中継車のように、ユーザーがそれぞれ好きな視点のカメラ映像を選んで、切り替えて見ることが可能。自分なりのスポーツ中継を自由に楽しむことができるのです。デモ会場ではタッチパネルで体験できるようになっていましたが、5Gが実用化された場合、自分のスマートフォンやタブレット端末でこの多視点中継を楽しむことができます。
会場には夜の屋外にも関わらず、多くの方が来場。思い思いにこの多視点スポーツ観戦を体験していました。この中継の様子は「FUTURE-EXPERIMENT」特設サイトで追体験することができます。
5Gはあくまで通信プラットフォームなので、様々な利用法が考えられます。NTTドコモでは、これからも「FUTURE-EXPERIMENT」として、5Gの持つ可能性を様々な形で提示していくとのこと。次はどのような展開でポテンシャルを示してくれるのか。次回も注目ですね。
(咲村珠樹)