2017年12月21日(現地時間)、イギリスのスコットランドにあるロサイス造船所で建造中のクイーン・エリザベス級空母の2番艦、プリンス・オブ・ウェールズ(R09)がドックで浮揚に成功、隣接するJ・K岸壁に移動しました。ここはネームシップである姉妹艦、空母クイーン・エリザベス(R08)が2017年夏の試験航海に出るまで繋留されていた岸壁です。(PHOTO:Crown Copyright 2017)
空母プリンス・オブ・ウェールズは、クイーン・エリザベスから若干の改良がなされ、3000トンほど重量が増加しているといいます。当初は2018年に入ってからドックを出る予定でしたが、建造が順調に進み、前倒しでドックを出て岸壁に移ることになりました。すでに3ヶ月前の9月8日に、コーンウォール公爵(ロスシー公爵)夫人(チャールズ皇太子のカミラ夫人)による命名式(一般的な進水式)を終えているため、「出渠(しゅっきょ/Undock)」という表現になり、華々しいセレモニーは行われず、いささか地味なものとなりました。
出渠した空母プリンス・オブ・ウェールズは、複数の曳船によって霧の立ち込める海をゆっくりと移動し、姉妹艦である空母クイーン・エリザベスが艤装されたJ・K岸壁に繋留されました。
イギリスのハリエット・ボールドウィン国防政務次官(調達担当)は、プリンス・オブ・ウェールズの出渠に際し「2隻の素晴らしい船(空母クイーン・エリザベスと空母プリンス・オブ・ウェールズ)を建造するという記念すべきプログラムにおいて、これは重要な瞬間です。この2017年において、建造に携わった全英1万人の人々に感謝します」とコメントしました。
空母プリンス・オブ・ウェールズの初代艦長(艤装員長)であるグルーム大佐は「これは大きなチームワークのなせる業であり、貢献した全ての人を誇りに思います。今日空母プリンス・オブ・ウェールズが初めて浮揚し、出渠したというのは、海軍にとって空母クイーン・エリザベスが就役した年の終わりにふさわしい出来事です」とコメントしています。
岸壁に移動して艤装が続けられる空母プリンス・オブ・ウェールズにとって、次の大きな建造作業上のイベントは、2018年中頃に予定されるガスタービンエンジンと発電機(クイーン・エリザベス級空母は、ガスタービンで発電し、モーターで動く統合電気推進システムを採用している)の試運転となります。試験航海は2019年を予定しています。
(咲村珠樹)