2018年3月8日(ドイツ時間)ドイツ国防軍は、MBDAドイツとアメリカのロッキード・マーティンと共同で、次世代型対空ミサイルシステム「TLVS」の開発を発表しました。
TLVSはアメリカ、ドイツ、イタリア共同の対空ミサイル開発計画(MEADS)の成果をもとに開発されるミサイルシステム。2013年にはドイツに統合シミュレーションセンターが開設されています。中核となるミサイルはペトリオットPAC-3 MSEで、防空レーダーシステムと統合されて使用されます。
2013年にイタリアで行われたMEADSの試験では、同時に2方向から接近する敵機(標的ミサイルとQF-4Eフルスケールドローン)を迎撃することに成功しました。
このシステムが迎撃できるのは、最終(ターミナル)段階にある弾道ミサイル、戦闘機、ヘリコプター、無人機(偵察機・攻撃機)、そして巡航ミサイル。レーダーが捕捉できる360度の範囲で、幅広い迎撃能力を提供します。システムはオープンアークテクチャとなっており、THAADなど上層で迎撃するミサイルシステムと連携し、撃ち漏らした目標をそのまま引き受けて撃破することにも対応しています。
また、このシステムはコンパクトな構成となっており、セット丸ごとをA400M輸送機で運搬することが可能です。既存のミサイルシステムと比較して低コストで導入でき、システム全体の自動化が進展したために、運用に必要な人員も削減できています。システムで採用している車両自体も燃費が向上しています。
このTLVSは、ペトリオットPAC-3MSEのほか、IRIS-T SLミサイルも運用が可能であり、より幅広い防御システムが提供できるとのこと。
従来より低コスト・少人数で運用可能なTLVS。ドイツ以外でも採用が進む可能性があります。
Image:Lockheed Martin/MBDA Deutschland
(咲村珠樹)