ドイツ空軍の制服組トップにあたる空軍総監、インゴ・ゲアハルツ中将が2021年10月17日(現地時間)、多国間共同訓練「ブルー・フラッグ」に合わせイスラエルを訪問しました。ゲアハルツ中将はイスラエル空軍司令官のアミカム・ノルキン少将とともにホローコースト犠牲者の追悼施設を訪問するなど、両国間の交流を深めました。
かつてホロコーストでユダヤ人を弾圧したドイツは、ユダヤ人国家のイスラエルと長年にわたって歴史的問題に向き合い、交流を深めてきました。ドイツ空軍は、イスラエルで実施される多国間共同訓練「ブルー・フラッグ」に定期的に参加し、協力関係を強化しています。
今回、ドイツ空軍総監のゲアハルツ中将が「ブルー・フラッグ」期間中にイスラエルを訪問したのは、2020年にドイツで実施されたイスラエル空軍との共同訓練「ブルー・ウィングス」で、イスラエル空軍司令官のアミカム・ノルキン少将がドイツを訪問したことに対応するものです。
イスラエルに到着したゲアハルツ空軍総監は、エルサレムにあるホロコースト犠牲者を追悼する国立記念館「ヤド・ヴァシェム」をイスラエル空軍のノルキン少将とともに訪問。永遠に消えない火が灯された犠牲者追悼の間に、慰霊の花輪を捧げました。
ゲアハルツ空軍総監は「ヤド・ヴァシェムを訪問できたこと、そして友人であるアミカム・ノルキン少将に感謝します。特にドイツの私たちにとって、ショア(ヘブライ語で「ホロコースト」の意)の記憶は永遠に忘れてはならないものです。それは今、のちの世代へ受け継がれる非常に重要なことです。私たちは今でも、ショアの犠牲者の苦しみを感じています。私たちの責任は絶対に失われることはなく、記憶が薄れてはなりません。非常に心が動かされ、改めて私たちの『二度と起こさない』という誓いを表明します」との談話を発表しました。
ヤド・ヴァシェム訪問後、ゲアハルツ空軍総監とノルキン少将はエルサレム上空で記念の編隊飛行を実施しました。ノルキン少将はイスラエル空軍のF-15に、ゲアハルツ空軍総監はこの日のために用意されたドイツとイスラエル国旗が全面にデザインされた特別塗装のユーロファイター「イーグル・スター」に搭乗し、イスラエル立法府(クネセト)などの上空を飛行しています。
これは2020年、共同訓練「ブルー・ウィングス」で、イスラエル空軍機とドイツ空軍機が共同でダッハウ強制収容所跡などの上空を追悼飛行したことと対をなす行事。これまでイスラエルとドイツが築き上げてきた関係を示す、またとない機会となりました。
イスラエルで実施されている多国間共同訓練「ブルー・フラッグ」は、イスラエル空軍から第115仮想敵飛行隊のF-16IやF-35I、ドイツ空軍から第31戦術戦闘飛行隊「ベルケ」のユーロファイターが参加しています。このほかにもアメリカ、イギリス、イタリア、インド、ギリシャ、フランスの計8か国から戦闘機が参加し、10月28日まで訓練が実施される予定です。
<出典・引用>
イスラエル空軍 ニュースリリース
ドイツ空軍 ニュースリリース
画像:イスラエル空軍
(咲村珠樹)