オランダの造船会社ダーメン・スヘルデは2020年11月18日(現地時間)、ドイツ海軍の新型多目的戦闘艦MKS180用にタレス製の戦闘システムを選定し、総額約15億ユーロ(約1850億円)で調達契約を締結したと発表しました。
ドイツ海軍の多目的戦闘艦MKS180は、ブランデンブルグ級フリゲート(1994年就役開始)を置き換えるために計画されたもの。艦種としてはフリゲートに相当しますが、より多目的に使えるように構想されており、排水量は最大1万トン級と戦後ドイツ海軍では最大の戦闘艦艇となります。
MKS180は、ダーメンとドイツのブローム・ウント・フォスが共同で4隻の建造を受注しており、2027年から2031にかけて引き渡される予定。さらに必要に応じ、2032年以降に2隻を追加建造するオプション契約も締結しています。
今回の契約でMKS180に装備されることになったのは、戦闘システム「TACTICOS」と、それに組み合わされるAWWS(超水平線水上戦闘システム)。そして艦の目となるAPAR(アクティブ走査フェイズドアレイ・多機能レーダー)ブロックIIです。
ダーメン・スヘルデ造船所のハイン・ファン・アメイデン社長は「この成果の背景には、オランダ海軍をはじめ各国海軍の艦艇を8世代にわたって建造してきた、わが社の50年以上に及ぶ経験があります。オランダ海軍は、タレス・オランダの開発した高度なセンサーやレーダーシステムなど、様々なテクノロジーのローンチカスタマーであり、イノベーターとなってきました」と語り、オランダ海軍が新しいテクノロジーを採用してきたからこそ、今回のドイツ海軍の要求にこたえられるとの見方を示しています。
タレスのパトリス・カインCEOは「ドイツ海軍、そしてダーメンとの長年にわたる関係をさらに強固にする、今回の契約を誇りに思います。この大きな契約は、ハイエンドの海軍システムにおけるグローバルリーダーとしてのタレスの地位を、さらに強固にするものです。タレスの多様な能力により、ドイツ海軍は最先端テクノロジーによる恩恵を受けることでしょう」とのコメントを発表しています。
タレスのAWWSは2019年、オランダ・ベルギー海軍の新M級フリゲート用として開発が始まったもので、人工衛星や航空機からの情報を複合的に活用し、自身のレーダー波が届かない水平線の向こうにいる水上・上空の目標を捕捉・攻撃するシステム。MKS180多目的戦闘艦の1番艦は、2028年にも作戦能力を獲得する見込みです。
<出典・引用>
ダーメン ニュースリリース
タレス プレスリリース
Image:Damen
(咲村珠樹)